魔女の復活光景一覧

 最近、ツイッターで「不死の蘇り方のパターン、あなたはどれが好き?」という感じのイラストを見たのだけれど、そこに我らが聖杯の魔女ニマドさんのパターンが入っていなかったことが、この作文を書くきっかけになった。
 今回は作文の最後に、ここで記載された魔女が登場する作品のURLを置いておきます。まだ読んでない人や、この作文を読むことで興味が湧いた人たちはぜひ見に行ってみてください。
 また、先に言っておくと全ての魔女は、下記に記載する通りの方法でもって、死亡せずともダメージをゼロに戻すことが出来るものとします。






・聖杯のニマド
……0フレームで蘇るタイプ。復活モーションがない。いつの間にか「死んでなかった」ことになってるタイプ。
 自由度の高い魔法を持つニマドにとって「自分は魔女である」ということを人間に説明する際、重要なことは魔法で「何をするか」ではなく魔法で「何をしないか」である。例えば、
「こら、禁煙でしょ」
 と吸っていた煙草をひったくられて、そのタバコが手品みたいに消えたとする。これでも当然人間は驚くだろうけれど、
「こら、禁煙でしょ」
 と吸っていた煙草がひったくられ、それが彼女自身の手のひらに押し当てて消火されたなら、大抵の人はもっとびびるだろう。
 そういった演出面を考慮することで人間と友好関係を結ぼうとする彼女は、その気になれば様々な方法で蘇ることが出来るのだけれど、実際は0フレーム制が採用されることと思う。
 血まみれになって死んだはずの女が起き上がり、みるみるうちに傷が治っていくよりも、後ろから肩を叩かれて「えっ?」と振り返ると死んだはずの女がそこにいて、死体があったはずの場所を見ると血痕一つ残っていなかった方が怖い。そうやって彼女は「自分は魔女だ」ということを証明していくのである。



・被虐のカッセロ
……網目状の黒い光による円錐に包まれて、そこから解放される時に全快しているタイプ。木っ端微塵に消し飛ばされて死亡した場合は、逆に言えば「円錐の発生地点」が彼女の蘇る場所となる。なおその場合、その地点が選ばれる理由に法則性はない。彼女の性格と同じく、大体気分で決まる。
 カッセロの場合は狙って演出するタイプではなく、本人の意識が蘇りの方法に勝手に現れているタイプ。物理的な被虐が趣味である彼女いわく、「派手に治して安心させないと、向こうが本気でやってくれない」とのこと。
 ちなみに復活時に現れる円錐の直径はカッセロの体を包む最低限と決まっているので、なんらかの理由で彼女の体の大きさが変わると円錐の大きさも変わる。が、それは単なる黒い光であり、円錐の中に入った他者への影響は皆無である。その場合、円錐の中にいる者にとってカッセロの復活は0フレーム制になる。



・安眠のザロウ
……状況によって復活の方法は二パターンに分かれる。
 その場での復活に支障ない場合(肉体が原型を保っており、生存可能な環境がある(マグマの中とかではない))は、負った傷などのダメージを「肉体の時間」を巻き戻すかのように全快させたあと、起床のポーズ(仰向けの状態から上半身を起こし、両手を上げて伸び)をして目覚める。
 上記の方法が不可能な状況になると、彼女の復活は特殊な0フレーム制になる。ニマドと同じく気付いた時には復活可能な場所で蘇っていることになるが、その際「起床のポーズ」を必ず取る。
 また、「蘇生」ではなく単に「回復」を行う場合でも、彼女は一度目を閉じて眠りの体勢に入ることで上記の復活を行う。その復活方法の見た目上、初見の人間にとっては死んでしまったように見えかねないので、ものすごく心臓に悪い。



・偶像のイノベトラル
……泥から復活する。彼女が死亡した場合、その死体は泥となり、その泥が再び彼女を形作る。もちろん記憶や人格は継続する。
 死亡時に発生する泥が何らかの理由で速やかに消滅させられた場合、死亡場所から最も近い地点の泥から復活する。まったく同じ地点に複数の泥があった場合は、その具体的な位置を知らずとも方角単位で復活地点を選べることから、生前の意識が死後~復活の間にもどこかに存在している様子。
 何度でも復活出来るとはいえ、他の魔女と同じく、彼女は人間と同じ条件で一度死ぬ。そして彼女の復活は泥という原料を必要としているため、地球上の全ての泥が消滅した場合、その時になって彼女は本当の意味での死を迎える可能性がある。あるいは宇宙のどこかに、彼女の生存出来る環境と泥があるのだろうか……。



・偽証のコハク
……その場での復活に支障ない場合(肉体の原型と環境に問題がない場合)は、ザロウの復活方法から起床のポーズを省いた形で蘇る。
 復活に支障がある場合、彼女の肉体(死体)はまず「支障ない環境」まで移動する。この「移動」は、目に見えない力によって物理的に引きずる形で行われる。そして十分な環境にまで移動しきった肉体は、時間を巻き戻すかのように再接着されて、その後ザロウから起床のポーズを省いた形で復活する。
 ……なお、その「移動」の通り道にある物体は全て消滅する。(漫画「亜人」の設定をパク……参考にしてもらえると分かりやすいかもしれない)
 カッセロと同じく本人の意思が復活方法に勝手に影響しているタイプであり、つまり彼女はそんな時にまで「周囲を巻き込む」。が、だからこそ生前同様の性格通り、「移動」の通り道は他者の声によって指定することも出来る。指定する権利は早い者勝ちで決定される。
 また、肉体が木っ端微塵に消し飛ぶなど、そもそも「移動」する物がなくなってしまった場合は、彼女もニマドと同じ0フレーム制で復活する。周囲の存在にとってはそれが一番安全なので、万が一コハクを特殊な環境で死なせかけてしまった場合は、文字通り速やかに塵にすることをおすすめする。



・魂魄のヒヤナギ
……魂の入れ替えを行うタイプ。
 魂とは生命活動を行うために必要なパーツの一つであり、いくら魂だけを繋ぎ止めても、「魂が入っていないこと」以外を理由にして生命活動を止めた肉体を治すことは出来ない。よって、彼女に自己再生能力の類はない。
 しかし、彼女は自身の魂を操ることが出来る上に、他人の魂を操ることも出来る。なので彼女の復活とは、要するに他人の健康な体を乗っ取ることによって行われる。記憶や人格は当然引き継ぐ。また同様に、この方法で他人を実質的に蘇らせることも可能。
 なお、彼女の趣味は平たく言うと「監視」であるが、外見からでは「どの肉体の中にヒヤナギの魂があるのか」を人間が判別することは出来ないので、そういう意味で理にかなった復活方法と言えるだろう。




☆魔女登場作品リスト
・聖杯のニマド登場……「尽くす系ニマド」
https://syosetu.org/novel/186976/

・被虐のカッセロ登場……「鎖付きアクアリウム
https://syosetu.org/novel/229967/

・安眠のザロウ登場……「眠姫ザロウと漆モズ」
https://syosetu.org/novel/233192/

・偶像のイノベトラル、偽証のコハク、魂魄のヒヤナギ登場……「oneフォルダsevenシンズ」
https://syosetu.org/novel/244282/