デビルメイクライと思い出

 なんだかよく知らないうちに、大型タイトルの新作ゲームが次々と発表されていました。例えば、スマブラが今年の冬に出るみたいですね。

 他にはマリオパーティバイオハザード2のリメイク、アーケードゲームだとガンダムのエクバ2も出ますし、マリオテニスに至ってはすでに出ましたね。まだ遠い話なのかもしれないですけど、バトルフィールド5も出るらしいです。

 そんな新作ゲーム情報の一員として、デビルメイクライ5があります。調べてみたところ、「DMCデビルメイクライ」というスピンオフ的なタイトルと「リメイク版デビルメイクライ4」を除くと、なんと4が出てから5の情報が解禁されるまでの間に10年の時が過ぎていました。

 デビルメイクライ4の方に個人的な思い出がたくさんあるので、今回はその思い出について語っていこうと思います。思い出したから語るだけです、深い意味はありません。

 便宜上特殊な言い回しをする場合もありますが、あくまでも便宜上です。深い意味はありません。

 

 

 ぼくがデビルメイクライというゲームを初めて見たのは、近所の大型スーパー……というかイトーヨーカドーデビルメイクライ4の試遊台を見た時でした。十年近く前の話ということになりますね。

 DSなどの携帯機ならともかく、テレビゲームの試遊台は今の時代ヨーカドーやイオンから姿を消しています。なぜそうなったのかは知りませんけど、まったく見かけることがなくなってしまいました。

 しかし十年前にはまだまだ試遊台が置いてある場所が多く、デビルメイクライを知れたことは試遊台のおかげなので、試遊台というシステムそのものにも思い入れがあったりもします。ガンダムの連ザも、「ウルトラマン」というタイトルのゲームも、試遊台きっかけで購入に至ったゲームなので、試遊台がほとんどなくなってしまった今の時代には寂しさを感じますね。

 まあそれは置いておくとして。とにかく初めてデビルメイクライ4を見たぼくは衝撃を受けました。当時自宅のPS2でウルトラマンFE(ファイティングエヴォリューション)シリーズを遊ぶことに夢中だったぼくに、PS3のスタイリッシュアクションゲームはカルチャーショック級だったのです。まさに次世代、未来そのものでしたからね。

 ところでスタイリッシュアクションってなんだよと思うかもしれませんけど、これは公式の生み出したフレーズです。実際ゲームの中にもスタイリッシュランクというものがあったりするし。……まあ、どんなゲームなのかは動画を見てもらうのが一番早くて確実だと思うので、デビルメイクライ4で検索して見てくださいとしか言えません。

 ざっくり説明するなら、まあとにかく見た目がかっこいいゲームでした。デビルメイクライ4は小学生だったぼくの男の子魂をガッチリ掴んだ。しかし試遊台にはそこに置かれているゲームのタイトルが何なのか書かれていないことが多く、ぼくはその時「なんかかっこいいゲームがあった」というくらいのことしか知らずにいました。

 物心ついた直後くらいに見ていたアニメが、おぼろげとはいえ確かに記憶にあるはずなのに、そのタイトルは思い出せないことと同じように。それでだんだんとゲーム自体のことも忘れていってしまったんですよね。

 再びデビルメイクライと出会ったのは結構な間が空いて、高校生になってからでした。友達の家で「お前の家どんなゲームあんの?」みたいな感じでPS3のソフトを漁っていた時のことです。

 パッケージ裏に、昔見たことのあるボスキャラが映っていました。小学生の時にヨーカドーでプレイして衝撃を受けたあのゲームです。デビルメイクライというタイトルはその時やっと知りました。

 まあテンション上がりましたよね。

「うおおおおおお!?!?!? ちょ、ちょっとこれ! このゲームやりたいコレコレ!! お願いやらせて!」

 って感じになりましたよ。友達が二つ返事でいいよーと言うので、ドキドキわくわくしながらさっそくプレイしました。

 するとまあ、試遊台の時は知らなかったけど結構ムービーが多くて長いゲームで、どれも一人で鑑賞するなら本当に素晴らしい物だったんですけど、友達の家で遊ぶのには向かなかった。結局、割と早々に切り上げた気がします。

 で、当然それで終わりということにはなりません。小学生の頃に憧れたゲームをやっと見つけたんです。このチャンス逃すものかって感じですよ。

 高校生になる頃には奇跡的にPS3を獲得していたぼくは、結果的にその友達からデビルメイクライ4を無期限でレンタルする許可を得ました。ぼくの交渉術とかではなくて、友達がひたすら優しかっただけです。本当に「感謝」以外の言葉がありません。

 なぜ無期限なのかというと、別に返したくなかったわけじゃないですよ。どの程度の期間でクリアできるゲームなのかわからなかったことと、期限があるとプレッシャーで上手く楽しめないぼくの性質が理由です。

 レンタルに期限があるとゲームクリアまでの〆切的なものが発生して、なんだか仕事っぽくなると思いませんか? いくら念願のゲームでも仕事になると面白くないですからね、無期限で借してもらえて本当によかったです。

 それでしばらくそのゲームで遊んで、難易度「簡単」と「普通」でとりあえずクリアしました。思ったよりも謎解き要素があるゲームでしたけど、戦闘が当時感じた魅力のままかっこよく楽しくて良いゲームでした。

 とりあえずクリアしたので友達にゲームを返却します。これでぼくとデビルメイクライ4の縁も決着がついたかな。……と思いきや、このあとしばらくしてからまた借りるんですよね。なんかもう一回やりたくなっちゃって。

 もう一回借りて、難易度「難しい」をヒーヒー言いながらなんとかクリアしました。そうしたら「激ムズ」も出てきたんですけど、これはぼくには無理そうだと判断して友達に返却しました。ぼくはゲーム好きですけど上手くはないので、そこで自分の限界を感じて以降デビルメイクライ4に興味を持つことはなくなりましたね。コンボ動画とか見たらわけわかんない動きしてるし。

 それでも大満足で、いやー友達のおかげで思い出のゲームが思う存分遊べてよかったー感謝感謝、と思ってたんですけど、よくよく考えるとその友達には他にもいろいろ貸してもらった恩があったんですよね。

 小学校時代から中学校時代にかけて、ひぐらしのなく頃にのスピンオフ漫画とか、ローゼンメイデン一期全巻とか、漫画をたくさん貸してもらいました。全部無期限ですけど、全部ちゃんと返してます。

 あ、ちなみに友達は同い年です。ひぐらしのタイトルを「こういう漫画あるんだけど知ってる?」とそもそも持ち込んだのはぼくでした。不登校気味のやつが異文化を持ってくることもあるんです。

 まあそれはともかく、ここで話をローゼンメイデンに移します。デビルメイクライの思い出話じゃねーのかよって感じですけど、借りる繋がりなので。

 ローゼンメイデンは一番新しいアニメの一話をリアルタイムで見て「これが噂のローゼンメイデンかぁ。絵が綺麗だし、リメイクなんだろうな」とか思ってました。リメイクじゃなくて二期だということに気付くまでそんなに時間はかかりませんでした。

 二期から見ても面白いローゼンメイデン。こいつはツタヤで一期の原作漫画なりDVDなりをレンタルするしかないぜ……と思っていた時に、ふと友達の家の本棚を思い出しました。そういえばひぐらしのそばに、ローゼンメイデンがあったはず……!

「貸~して」「い~いよ」

 のトントン拍子で貸してもらえました。読んで、ローゼンメイデンにハマり、二期の部分はアニメで見たけどその後ツタヤで原作レンタルして読みました。

 返却期限が決まっていることは好ましくないのですが、そんなこと言っている場合じゃありませんでした。ツタヤで何かを借りる時は大体そんなこと言ってる場合じゃない時です。友達から借りる時も、どうしても期限が付くというなら甘んじて受け入れます。

 それで、読んでみると原作もとても面白かったので、二期は持ってなかった友達にもおすすめしときました。けどそれはあんまり響かなかったようです。

 思い出といえばこんな話もありますね。ローゼンメイデンの原作は出版社と揉めたか何かで連載雑誌を変えているので、原作的には変わる前が一期、変わったあとが二期です。アニメの一期二期もそれに連動しています。ツタヤの店員が一期1巻を二期1巻の箱に入れているところを見た時には「まったくわかってないなぁ(うざい声)」って気分になったりもしてました。気分だけですよ。

 そんな感じでその友達からは貸してもらう系の恩が以前からかなりあったんですけど、まさかデビルメイクライ4までぼくに知らせて遊ばせてくれるなんて、もう恩人の域です。友達がそれらの物を持っていたのは完全に偶然だったはずなので、奇跡の恩人でした。

 PS2が壊れて廃棄された我が家には実はまだPS2用のゲームソフトがいくつか残されています。友達の家にはPS3だけじゃなくPS2もあったんですよね。完全にそれで遊ばせてもらおうという魂胆でした。借りが一個あったら何個作っても一緒だぜと言わんばかりの図々しさです。いや、借りというか、借りた物は物理的にはちゃんと全部返しましたけど、そういうことじゃなくて。

 あ、借りるでもう一つ思い出しました。

 高校生の時にダークソウルにどハマりしたぼくが、ソウルシリーズに一切興味のないその友達に「一切興味ないの承知で言うから聞いてくれ。ダークソウルっていうゲームがこれこれこういう感じでめちゃめちゃ面白くて……」と熱弁したことがありました。

 その時は友達も「へぇーそうなんだ。よくわかんないけど」みたいな感じで聞いてくれたんですけど、なんかある時からダークソウルに関する質問をしてくることが増えたんですよね。

「魔法ってどうやって唱えるの?」

「持ち物の切り替えってどうやるの?」

 みたいな。なんかおかしいじゃないですか。最初は実況動画でも見始めてくれたのかなーだとしたら熱弁した側としても嬉しいなーと思ってたんですけど、だんだん質問の内容が「それゲーム動画を鑑賞する人が知りたくなることか……?」っていう物になっていったんですよ。

 ある時おそるおそる、そして期待をこめて、聞いてみました。

「……ダークソウル買った?」

「実は……ダークソウル2買った」

「!?!?!?!?!?!?」

 斜め上の展開! 衝撃というか、もはやドッキリの類でした。ダークソウル2はぼくも持っていなかったので、友達はいつの間にかぼくにとっても未知の世界に冒険へ出ていたのです。「マジかお前まじかああああ!」ってなります。

 ただぼくは本当に汚い人間だなと思ったのは、その時の喜びに「自分が勧めたゲームに興味持って買って遊んでくれるなんて嬉しい!」という意味以上に「これでダクソ2買わなくても借りて遊べるじゃん!」という意味がありました。今思い出してもクソ野郎ですね。

 とにもかくにも、借りるかどうかは置いておいてとりあえずぼくは友達の家に遊びに行きました。そして友達がダークソウル2をプレイしているのを隣で見守って、無印ダークソウル経験者として玄人面してコメントしたりしてました。

 ところがどっこい、そこで友達の思わぬ弱点を見たのです。その友達はホラー系がとても苦手な人だったんですけど、その人からするとダークソウルはかなりホラーっぽい物だったみたいなんですよね。ぼくからすればそんなことはないんですけど。

 せっかく剣を持っているのに、魔法を撃ち尽くしたら「近寄るのが怖いから」と言って拠点まで撤退する友達。怖いというのは迫りくる敵がホラーっぽいの意味もあるし、自分が攻撃をくらってやられてしまうこと自体が怖いみたいなニュアンスも感じました。なぜその豆腐メンタルでデビルメイクライが遊べたのか、不思議です。いやディスってるわけじゃなくて、純粋に不思議です。

 で、まあ玄人面してる人がそんな非効率な、というか非効率通り越して縛りプレイと呼べそうなプレイを見せられたら、そのうち「ちょっとコントローラー貸せ!」ってなりますよね。そんな乱暴な言い方はしてないつもりですけど、結果としてぼくはコントローラーを友達から奪取しました。

 敵が怖くて近寄れないという友達に対して、ぼくはぼくで消耗品のアイテムや使用限度のある魔法を必要以上に温存してしまう「貧乏性」という特性があったので、コントローラーを借りるや否や「雑魚相手に魔法なんて使ってんじゃねえ!」と言わんばかりの勢いで剣を片手に突撃してました。

 序盤のステージだったのでそれで問題なく突破できたのが幸いでしたね。そしてそれを見た友達が「すげえええ」みたいになってたので、ぼくもご満悦です。しばらくそのまま遊んで、温存した魔法をボスにポコポコ撃って倒しました。ボスもぼくがやっていいのかとは思いましたけど、結果的にぼくが倒すことになってましたね。

 その後友達はちょくちょく自力でプレイしたあとに「やって」とコントローラーを渡してくるようになりました。ぼくは傭兵になったのです。傭兵になることにより、借りるまでもなくダークソウル2を遊べました。

 最高だぜー! と頭からっぽで当時は楽しんでましたけど、今思えば普通にコントローラー奪取してるだけですし、いかがなものなんでしょうか。友達は若干行き過ぎたレベルで善人だったので、「頼む」という形を巧みに演出してわざとぼくにゲーム貸してくれてた説は……さすがにないと思いたいです。

 さすがのぼくもそこまで簡単にコントロールされちゃう人間なはずないでしょ。コントローラーを譲られながらコントロールされるなんてね。はっはっはっ。そんなの妄想ですよ妄想。

 でも妄想といえば、敵が怖くてまともに戦えない友達がダークソウル2を買ったということは、ぼくの話だけ聞いて買ってくれた説もあるんですよね。動画を見ていたらこのゲームは自分には無理だと判断していたかもしれないですし。

 だとしたら嬉しい話です。だけど「動画で見てる時は平気だった」なんて話も全然ありそうなので、このあたりのことはリアルタイムで友達に聞けなかった以上永遠の謎として放っておくしかありません。

 で、ゲームの話に戻りますけど、最後の方になるとほとんど全部ぼくがプレイするようになっていました。そうやって遊ぶうちに無事ラスボス撃破まで至りました。ただぼくは魔法キャラ以外でもプレイしてみたかったので、結局その後また無期限でレンタルさせてもらいました。ちゃんと常識的な期間で返しましたよ。

 そんな感じで、その友達には本当にとことんいろいろな物を借りてお世話になりました。しかし逆にぼくが貸した物が何かあったかというと……どうだったかな……。うーん……。

 ……で、この話のオチは結局なんなのかってことですよね。オチはですね、その友達とは最終的に絶交状態になったということですね。借りを作りすぎた結果パンクしたのか、原因はいくつもありそうなので「コレだ」とは言えないんですけど、とにかくぼくは人間関係に対して何か致命的な部分を持っているみたいです。

 我が家のPS2ソフトは次に機会が来た時に廃棄しようと思います。

 

 

 ……というようなことを、デビルメイクライ5のPVを見て思い出しました。一つのタイトルの新作が出ることで、小学生の頃から今に至るまでの様々な思い出がよみがえるのは、なかなかすごいことだと思いませんか。まあ主に一人の友達についてのことでしたけど。

 いや、バッドエンドの思い出ではありますけどね? でもエンドが悪かったからといって、楽しかったことが全部悪い思い出になるわけじゃないですし、思い出せるのはいいことだと思います。

 ……いや、バッドエンドに至る原因は流れを見てもわかる通り明らかにぼくにあっただろうし、原因作った側が言えたことじゃないんですけど。ぼくの側から友達に何をしてあげたのかというと、何かしてあげられた記憶はないわけで……。

 という複雑な気持ちになれるデビルメイクライ5ですが、複雑といえば「DMCデビルメイクライ」の存在もあります。

 ぼくは実際プレイしたわけじゃないのですが、「デビルメイクライ4」の発売から何年も経ったあとに「デビルメイクライシリーズの新作!」と鳴り物入りで出てきたDMCデビルメイクライ。これの評判は「ゲームとしては面白い。デビルメイクライとしてはクソ」でした。

 ゲームとして面白いならいいじゃん……と思っていた時期がぼくにもありました。デビルメイクライ4を遊んでからDMCデビルメイクライの動画を見てみると「あー、これはクソだわ」となります。長年待たされた続編がコレだと、根っからのファンの人はさらに怒り倍増だろうなって感じがしました。

 例えるなら、やっと連載再開したワールドトリガーがストーリーはそのままに、絵とセリフ回しが完全にジョジョになっていたみたいな。「漫画としては面白い。ワールドトリガーとしてはクソ」って感じです。伝わりますか……? 別にジョジョを否定しているわけではないですよ。

 よくわからない場合はデビルメイクライ4のリメイク版も出ていることですし、ぜひそれを買って遊ぶなり、お金と時間の事情があるなら全部通しのプレイ動画で見るなりして、その後DMCデビルメイクライを見てみてください。必ずわかります。

 と、そんな歴史のあるデビルメイクライシリーズ。DMCデビルメイクライの時に「元々長髪だった主人公が短髪になっている」ということがあったのですけど、デビルメイクライ5のPVを見ると、またしても主人公(4から出てきた二人目の主人公)が短髪になっています。

 さすがにナンバリングタイトルだから大丈夫だろうと自分に言い聞かせながら、なんとなく嫌な予感を覚えているファンもたくさんいるみたいです。デビルメイクライ1から楽しんでいる根っからのファンの間で、楽しみだという期待と過去の悪夢から来る不安が入り混じっているわけですよ。

 その点、4しか遊んでないとはいえ、デビルメイクライを見るだけで良い思い出とその終わりのことを思い出すぼくも似たようなものだと思います。え、全然違う?

 ともかくです。そんないろいろな人の様々な思いが入り混じったデビルメイクライ5は、ほぼ間違いなくPS4で発売されるはずです。しかしぼくは未だにPS4を持っていません。

 ダークソウル3もPS4でしか遊べないんです。よく似たゲームのブラッドボーンもです。どっちも一度も触れてません。このままではデビルメイクライ5も当然触れません。

 誰かぼくにPS4を譲って、いや、貸してください。無期限で。