ボンバーマンR、それは家族で遊べる唯一のコンクエスト。

 ボンバーマンR(以下R)というニンテンドーSwitchのソフトがある。我が家(ぼく、弟、父、母の4人)が過去にボンバーマンで遊んだのは、ボンバーマンランドwii(以下wii)が唯一だった。だからボンバーマンの歴史はロクに知らない。
 しかし、wiiの頃の楽しさを求めてRを買うと、次世代機のはずなのに大幅ボリュームダウンしていてガッカリしたものだ。グラフィックの向上と引き換えに、以前は3つもあった対戦ルールが、たったの1つになっていた。
 我が家はゲームが苦手な母&弟と、実力並程度のぼく&父に大体二分されている。しかしRに残されたたった1つのルール、「最後の一人になるまで生き残れば勝ち」というバトルロワイヤルルール(勝手にそう呼んでる)では、実力差がはっきり出すぎてしまい困っていた。
 wiiにはスタールールがあった。ステージに散らばる星型の得点アイテムを拾い集め、制限時間終了時に一番多く星を持っていた人の勝ちというルールだ。バトルロワイヤルに比べると、このルールは実力差がいくらか緩やかになっていた。
 なぜスタールールなら実力差がマシになるのか。それは「爆死してもスターを吐き出してしまうだけで、また復活できる」というルールの存在が大きい。いやあえて言おう、その仕様が大きすぎる、偉大すぎる。我が家には、もはやそれが必須だった。
 バトルロワイヤルルールでは「生き残れば勝ち」、逆に言えば「一度死んだらそこで終わり」となる。厳密には復活チャンスもあるのだけれど、チャンスの期待値は渋い。一度のミスが致命傷になるので、ゲームが苦手な人には厳しいルールだった。
 しかしスタールールにおいて、我らがボンバーマンは不死身。ボンバーマンは皆、制限時間の許す限り何度でも蘇るさ。その不死身が下手っぴに嬉しい。そしてさらに「死亡するとペナルティとして、持っていた星をステージ上にばらまいてしまう」という要素がある。これがスタールールのミソだった。
 何度も死に、そして蘇ったボンバーマンは、もはやすっからかん。星など持っていやしない、カイジなら地下行き待ったなしといった状態になる。しかし、ということはつまり、他の生き残ったボンバーマンたちは、その分多くの星を蓄えていることになる。
 星に肥えたやつらの死は重い。少なくとも一度の死で、所持している星の半分は吐き出す仕様だ。すっからかんの奴らとは死の重みが違う。有利な状況であればあるほど、プレイヤーは「一発のリスク」を抱えざるを得ない仕組みになっているのだ。逆に言えば、不利な状況の人たちには常に「一発のチャンス」がある。
 この、常に逆転の可能性を残すシステムが、我が家にはピッタリだった。ぼくと父も別にゲームが超上手いわけではない。せっかく調子よく立ち回っていたのに、何度死んだかわからないへっぽこボンバーマンたちに、制限時間間近でうっかり爆殺され逆転されることもある。それが最高に面白かった。
 そのスタールールがRには無い。残されたのは(ほぼ)たった一つの命をかけたバトルロワイヤルだけ。失った物があまりにも大きい。……しかしRにもRの利点はあった。wiiと比べてステージの魅力が圧倒的に増したことだ。
 が、しかし。Rになってステージの個性が猛烈に増したのは嬉しいが、そのステージを解放するために必要な、ゲーム内通貨のレートが異様に渋かった。全然集まらない。遊んでも遊んでも集まらない。
 具体的には、一回遊んでもらえるのが300ポイントである一方、ステージ一つを出すのには4000ポイントも要求される。10連戦の激闘を超えたとしても、新ステージを一つも解放できないわけだ。ワーキングプアもいいところだろう。
 その他にR独自の物としては、特別な能力を持ったプレイアブルキャラクター……という新要素もあった。が、そもそもボンバーマンにキャラ固有の特殊能力を求めている人なんかいるのだろうか……? 格闘ゲームじゃあるまいし。
 そんなわけで、数々の理由が合わさり、ボンバーマンRはいつしか我が家で封印されていった。数あるソフトの下へと埋まっていった。……が、それを最近何かの拍子に取り出し、ちょっと遊んでみた。するとRに驚くべきことが起きていた。
 対戦ルールが増えている。一つしかなかった対戦のルールが、増えていたのだ。それはアップデートによるものだった。もはやネット環境のないゲーマーに人権はないと言わんばかりに、ルールは3つも追加されていた。そこには「クリスタル」と名を変えて、ほぼスタールールと同じ内容の物もあった。
 追加されたルールたち、クリスタル、チェックポイント、エスコートの3種類は、全てチーム戦専用の物だった。時々、我が家が3人家族だったらと想像してはぞっとする。プリンの数で争わない分ここで苦しめと言わんばかりに、ゲームは度々4人を推奨してくる。4人家族でよかった。
 さて、そういうわけで、ネット環境や人数など様々な「もしも」を想像しては震えながらも、もしもではなく「今」を見て、ぼく(とその家族)はウキウキ気分でクリスタルルールを遊び始めた。
 するとどうだ、思ったより面白くない。いや、ぶっちゃけ、限りなくつまらないに近いグレーだ。期待が大きすぎたわけではなく、普通に何かが、何かが足りなかった。
 何が足りないのか、何がダメなのか。その真相を突き止めるため、ぼくは過去作のスタールールと今作のクリスタルルールを比べて、その問題点と思われる箇所をまとめてみた。

・チーム戦になったことで爆殺対象が減少。しかもフレンドリーファイアがあるので、「自爆」に加えて「仲間の置いた爆弾で死ぬ」という、しょうもない死にパターンが増えてしまった。
・拾ったクリスタル数はチームでトータルされるものの、それとは別に「誰が、何個持っているのか」もカウントされるので、「敵チーム員」ではなく「敵チームかつクリスタルを多く持っている人」を爆殺しなければ、取られたクリスタルを奪い返すことが出来ない。
・チーム戦特有の要素として、敵を爆殺した際一時的に2vs1の構図となるので、散らばったクリスタルを拾う際有利になれる点がある。しかし同時に、スタールールにおける「漁夫の利」という醍醐味が失われている。
・以上の理由から、チーム戦としての面白みが皆無。

 要するにクリスタルルールとは、「殺しちゃいけない人」という概念が追加されたスタールールだった。そんな面倒な要素、面白いわけがない。
 仮にクリスタルが完全にチームの共有品となっていれば、爆殺すべき標的が増えると同時に、自分だけが生き延びればいいわけではないゲームとなって(ゲーム性的にどうなのかはともかく)一体感や独特な楽しみが生まれただろう。
 しかし現実は事実上の個人技だ。一人で拾い、一人で逃げればいい。味方がいくら爆散しようと勝敗には関わらない。
 一人でやればいいというのはスタールールも同じことだから、それ自体は悪いことじゃない。チーム戦でしか遊べないのに、チーム戦特有の面白みが一切ないことが問題だった。
 第三者が爆殺されて、大喜びでスターを拾いに行く様式美的な光景も消え去り、数的有利不利の概念がある関係で、スター拾いに夢中になって逆に自分が爆殺される……という様式美パターンも起こりづらくなっている。面白みがことごとく消されているのだ。
 ある種の不死となり、よつどもえになって命の代わりに得点を奪い合う。命もないのに殺し合う(言いたかっただけ)……そんなゲーム下手気味な人にもいくらか優しい「もう一つのバトルロワイヤル」だったスタールールに比べて、クリスタルルールは無駄に面倒かつ、妙なところで生ぬるい、ぼやっとしたゲームだった。
 ぼくは非常にがっかりした。四の五の言わずにスタールールを復権させてくれるだけでよかったものを……と。カービィのエアライドスマホゲームとしてリメイクされたらこんな気持ちかもしれないと思った。
 しかし、実はRに追加されたルールのうち、目玉と呼べる物はそれではなかったのだ。本題はクリスタルとは別にあった。
 チェックポイントというルールで遊んで、ぼくは驚きと感動を覚えることになる。それは一つの憧れを、ぼくの夢を叶えてくれる物だった。
 チェックポイント、それは陣取り合戦のルールだった。各所に配置された陣地を制圧することで、一定時間ごとに得点が入る仕組みだ。制圧の方法は、陣地の近くに居続けること。
 ぼくはそれとよく似たルールを知っていた。バトルフィールドというFPS(一人称視点シューティング)ゲームの、コンクエストというルールだ。あれもいくつかある陣地に近づき、居続けることで制圧して、自チームの陣地が多いほど時間ごとに勝利へ近づくルールだった。
 さらに知名度の高そうな例えを出すなら、少し違うがスプラトゥーンガチエリアがそれに近い。とにかく、そのような感じのルールが、気付けば突如ボンバーマンに実装されていた。
 ぼくは一人称視点だろうと三人称視点だろうと、シューティングが苦手だ。エイムが下手くそすぎるし、会敵すると冗談抜きで、どちらかが死ぬまでトリガーハッピーを起こしてしまう。はっきり言って向いてない。
 けれど今までの人生で、コンクエスト系のルールはシューティングゲームの中にしか見たことがなかった。だから、シューティングゲームで楽しそうに陣取り合戦している人たちを見ると、いつも羨ましくなる。自分もあんな風に楽しみたい……でも向いてないことを自覚している分野で努力するような根性もない……。
 そこに、チェックポイントルールが現れたのだ。それは単なる「ぼくでも出来るコンクエストもどき」ではない。「家族で出来るコンクエストもどき」だった。
 FPSを家族でプレイする家庭なんて、この日本に存在しているのだろうか。あれだけ知名度の高いスプラトゥーンでさえ、家族4人でそれぞれゲーム機本体とモニターを用意して遊んでいる例があるだろうか? いや、きっと無い。
 つまりコンクエスト系のルールは現実的に考えて、あるいはぼくにとって、家族で遊べる代物ではない。仮に家族で遊べるコンクエストもどきが既にこの世に存在していたとしても、ぼくはその存在を知らない。だとするとそれは、ぼくにとって存在しないこととほぼ同義だ。
 そこにボンバーマンRのチェックポイントである。コンクエストだ、自分にも出来るコンクエストだ。まぁなんとも、心が踊る……! こんなところで、こんな形で夢が叶うとは! クリスタルルールへの落胆なんか吹き飛んだ。
 しかし遊びながらも漂う一抹の不安。チェックポイントもクリスタルと同じく、何かが足りないゲームになってしまうんじゃないか。そう危惧していた。
 数分後、そこにはチェックポイントルールに熱狂する、ぼくの姿があった……!



 ……しばらく遊んでみて、わかったことがある。wiiのスタールールは我が家にとって、手放しで賞賛出来る素晴らしいルールだった。ある種完璧なルールだった。一方、チェックポイントルールも確実に面白い。かなり面白い。……けれども、まったく不満がない……というわけにもいかなかった。
 まず、チェックポイントルールの要点は、大体こんな感じだ。

・陣地に居続けることが制圧の条件、つまり制圧には「生き続けること」が必須。バトルロワイヤルほどではないにせよ、死は常に重い。
・しかし不死身でもあるので、やり直しのチャンスはいくらでもある。死ねば死ぬほど数的不利を背負う時間が増えて負けに近づくが、逆に言うとその不利は、死んだ分だけ敵を爆殺すれば取り返せる。死の重みは敵も同じだ。
・一度敵に制圧された陣地も、ゲーム開始時の「中立の陣地」と同じ要領で奪取できる。重要なのは「敵陣地に自分と敵がいた場合、自分側の制圧ゲージ(満タンになると制圧完了)が進行する」ということ。この仕様によって、陣地の所有権は目まぐるしく入れ替わる。

 ……バトルフィールドのコンクエストならば、陣地の範囲内に敵と味方が同数いた場合、制圧ゲージは敵味方共にストップする。誰かが死に、あるいはその場を離れ、どちらかの数が多くなった時、多数派となった側の制圧ゲージが進行を開始して、満タンになれば制圧完了となる。
 一方でボンバーマンは、自分が制圧対象の陣地の中に居さえすれば、敵が一緒にいようと制圧に支障はない。この仕様が醍醐味だ。頻繁に陣地の所有権が裏返るので、攻めこそが重要な激しいゲーム性となっている。
 というのも、敵を照準に収め引き金を引くことさえ出来れば確実にキルできるシューティングと比べて、時間差で起動する爆弾で動き回る敵を仕留めなければならないボンバーマンは、敵をキルすることに関して、プレイヤーの腕ではカバーしきれない難しさがある。どんなに上手くても瞬殺とはいかない。
 だからチェックポイントルールが守りに有利な物となっていたら、試合に動きが少なく盛り上がらない、非常にしょうもないゲームとなっていただろう。そうならなかったことをぼくは物凄く評価している。そして陣取り合戦というルール自体も、やはり普通に面白い。
 陣地を取るためにはそこに居続けること、つまり生き続けることが必要というのも、これまでのボンバーマンと一風変わっていて面白い。死ぬとまずいので逃げ回る、ということが出来ないのだ。チェックポイントルールにおいて、命は、あるだけでは意味が無い。命は、正しく使わなければならない。かといって死ぬことも論外だ。
 そんな「死ぬことは罪。何もせず生きても罪」という、おそらく「忙しさ」においてバトルロワイヤルを超えたと思われる新ルールは、かなり面白かった。大満足だ。しかしあえて不満点も上げようと思う。

・キャラ性能に差がある。
・ルール説明の不足。

 前者については、3種の新ルール共通のこととなっている。通常ルールにおいても「特殊能力の種類や有無」といった差はあるものの、それは設定でオフにできる上、それほど大きな物でもない。
 しかし新ルールのキャラ性能差はすさまじい。誰が優れているということではなく、「差がある」ということについて極まっている。
 まず初期能力が違う。通常ルールなら各自同じ条件で始まり、ゲーム中で拾えるアイテムにて能力値を強化していくことになるのだが、新ルールではそこから違う。そんな常識は通用しない。
 初めから爆風の大きいキャラ、爆弾をたくさん置けるキャラ、足が速いキャラ、アイテムを取って取得するはずの特殊能力を持っているキャラ……などなど、個性豊かな初期能力が設定されている。さらには「能力値」とは別に「能力上限」も決められているときたもんだ。
 全てのキャラが、大きく分けて「ゲーム開始時から強いけど、強化アイテムをあまり取得できない」と「ゲーム開始時は平凡だけど、強化アイテムでどんどん強くなる」の二つに分類されている。幸いにもまともなことに、能力値と能力上限はトレードオフの関係にあった。
 別に、そういう「差」があるからって、だから致命的につまらないというわけではない。明らかに強すぎるキャラがいるわけでもない。が、全員が平等なわけではないのだ。性能の強弱も少なからずある。
 そもそもボンバーマンに、キャラ性能を求める人がいるのか。いたとすれば、ぼくはその人とは趣味が合わない。ずいぶん前、マリオパーティ最新作におけるキャラ性能の差について、ここと同じ場所で長々と文句を垂れたこともあった。そこで今改めて言うけれど、ぼくはこの世に、キャラ性能の概念を持つべきゲームと、そうではないゲームがあると思っている。
 ボンバーマンは当然後者だ。ボンバーマンは、シンプルだからこそいいんじゃないか。むしろぼくはwiiからRになったことで、操作に必要なボタンが一つ増えたことにさえ若干否定的な立場でいるくらいだ。
 性能差というのは、格闘やシューティングなんかの、尖ったゲームにだけあればいいのだ。ああいう物はゲーム性そのものが尖っているからこそ、尖り方にバリエーションを付けた方が面白い。しかしボンバーマンマリオパーティは、ゲーム性の丸さが魅力だろう。
 丸さとはつまり、とっつきやすさのこと。性能差はその魅力を損ねるとぼくは考えている。まだマリオパーティと違って、明らかな強キャラがいないことが救いではあるが……。明らかな強キャラは、尖ったゲームでさえ褒められた物ではない。それが無いことは本当によかった。(まだ「それ」を見つけていないだけ、ということがないように祈る)
 しかし何よりも気に入らないのは、なぜ通常ルールでは「特殊能力なし」の設定が出来るのに、新ルールにはそういったON・OFF機能がないのかということだ。それさえ付けていてくれれば完璧だったのに……と、キャラ選択画面に来るたび思ってしまう。
 次の不満点は、ルール説明の不足。これは結構つらかった。問題なのは、ボーナス得点についてだ。
 チェックポイントルールでは、制限時間終了時にボーナス得点が入ることがある。が、その条件の説明が一切なく、一目見てわかる物でもなかったのだ。
 見てわかる確実なことは「自チーム陣地からボーナスが出る場合がある」ということだけ。この「場合がある」というのが曲者だ。ボーナスが出る時もあれば、出ない時もある。そこに何の差があるのか、初めはまったくわからなかった。
 まず父が最初に仮説を立てた。制限時間が尽きた時点で、最も新しく取得された陣地にのみ、ボーナスが出るのではないか……という説。しかしこれはすぐに、ボーナスの出る陣地が場合により一つだったり二つだったりしたことで、即座に否定されてしまった。二つの陣地がほぼ同時に制圧されてゲームが終わるなんて、そんなレアパターンが二度三度と出るはずがない。
 しかしその説が否定されると、ゲームプレイ中はいよいよ、ルールの把握について手詰まりとなった。まずいのは、ボーナスが「まぁいいか」では済まされないほどの高得点であること。これを把握せずして、ゲーム性も何もあったものではなかった。
 具体的には、時間経過や陣地奪取時には1点や2点がもらえるルールで、ボーナスは10点20点という具合だった。日給が1万2万という世界で、10万円のボーナスが理由も分からずもらえたり、かと思えば理由も分からずもらえなかったりした場合に、「まぁいいか」とは言えないことと同じである。
 この謎を解明するため、ぼくはyoutubeでチェックポイントルールの対戦動画を見た。正直「丸いゲーム」であるボンバーマンの対戦動画を、わざわざ上げてくれている人がいるのかは不安だったが、一応無事に見つかった。
 そしてそれを何度も見て、観察することで、一つの答えにたどり着いた。どうも、制限時間終了時に「制圧ゲージ」が出ていた陣地からは、ボーナスが出ないようだった。
 制圧ゲージとは、それが満タンになったら陣地を乗っ取れますよという印だ。当然、中立や敵陣地の近くにいるとそれが溜まる。しかし逆に言えば、というか普通に考えて、それは「最終的に溜まりきらなければ意味がない物」だとばかり思っていた。
 要するに、制限時間が来た時、敵が近くにいた陣地からはボーナスが出ない……ということらしい。たぶん、おそらく、見た感じではそのように思えた。この説まで否定されたら、今度こそもうお手上げだ。
 この説を正しいとすると、当然、これを知っているのと知らないのとでは、戦略に天地の差が生まれることになる。なのにゲーム中では、このルールについての説明が一切ない。本当に一切ない。まったく、これっぽっちもないのである。
 この際だから言うと、「陣地は近くに居続けることで制圧できる」ということさえ、説明はされなかった。我が家は「このゲームは陣取り合戦です。陣取りに成功するほど得点が入ります」という説明だけを受けて、それっぽい仮説とその実証で、ルールを把握したに過ぎない。
 あるいは、詳しいルール(百歩譲ってそう呼ぶ)は内蔵された電子説明書に書いてあるのかもしれないけれど、説明書を読まなければルールが把握できないボンバーマンを、ぼくは遊んだことがない。これはぼくがRを除くとwii一つしか遊んでいないせいだろうか……?
 何にせよ少なくとも、公式サイトと攻略wikiには、このボーナス得点についてのルールは載っていなかった。これで不満を持たない方がどうかしているとは思わないだろうか……? まるで詰めの甘いフリーゲームをプレイしているような気分だ。
 けれどそれらの不満点を除けば、チェックポイントルールのボンバーマンは素晴らしいゲームだった。だから本当に、惜しいのだ。昔みたいにキャラ性能を無くして(あるいはON・OFF機能を付けて)、ルールをちゃんと説明する。それが出来れば、それさえ出来ていれば、アップデートされたボンバーマンRは文句なしの神ゲーになれたのに。本当に惜しい。もったいない。
 チェックポイントルールに熱中するうちに、ゲーム内通貨もさすがにまとまった額が貯まってきた。まだ見ぬ個性豊かなステージの一つが、晴れて解放される日は近い。それが叶えば、それでやっと3つ目の新ステージだ。40戦以上戦って、ようやく3つ……。やり込み要素でもあるまいに!
 ともあれ、wiiと比べて明らかな強みであるステージが増えていくことで、Rの真の魅力が見えてくる……なんてこともあるのかもしれない。新ステージはバトルロワイヤルルールにしか対応していないが、もはやそれでも構わんと言えるくらいの魅力が、もしかするとそこにはあるのかもしれない。
 ……まぁそんな魅力に出会えたとしても、だとすればなおさら、ゲーム内通貨の貯まりづらさがクソなんだけどな! おとなしくチェックポイントで遊んどくわバーカバーカ。

ー完ー