一切の苦労なく美少女になってみたい

 ぼくは現代ではそう珍しくもない、スカートを穿いたことのある男だ。その経験からぼくは、あのヒラヒラした布はあまりにも無防備で、油断するとすぐに風圧もしくは視線の角度に負け中身が見えてしまう物なのだということを知った。

 中身が見えること。まだしも、女子のそれならばハプニングの一言で済ませることができるが、男子の場合それはもう破滅的。中身というのは血に塗れた内臓よりも醜い光景だろう。全国のスカートに手を出す女装男子には細心の注意をお願いしたい。

 

 話は変わって、男が美少女に生まれ変わると、困ったことが起きると相場が決まっている。自衛ができないのである。

 どこぞの入れ替わり系田舎女子が「男子の目線、スカート注意。人生の基本でしょ」と言っていたが、あれは真理だ。我々男子はスカートとは無縁の存在で、彼女にとっての人生の基本が、男子にとっての非日常であり難関なのだ。

 基本が難関。それは勉強ができないことと似ている。基礎ができない、それはもう絶望的に。頭の悪い生徒が赤点を取るのと同じ頻度で、スカートを穿いた男は周囲にトラウマを振りまく。

 そんな男が人格をそのままに、体だけ突然美少女に生まれ変わってみろ。スカートの下のパンツさえ守れずにどうやって貞操を守るというのだろうか。男は美少女に生まれ変わっても自衛ができないのである。美少女になってしまうと人生の基本ができない。およそ生きていけない。

 というわけで、我々は神龍に会った時のために、その点についての対策を練らねばならない。ぼくはすでに結論を出している。

 

 これは「機動戦士ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKY」 を見てから考えたことなのだけれど、ぼくらが立ち回りで自衛するのはもう不可能だ。

 すでに男として生きている間に過ぎ去ってしまった「女子の基本を心得る期間」を今から取り戻すことはできない。青春を遥か過去の思い出として何十年も生きつつも、そこから思い立って大学生になっちゃいましたといったタイプの人間ならば、これは例外かもしれないけれど。

 ぼくは勉強が苦手だ、出来るようになれる気がしない。なら人生の基本も同じだ。苦手は苦手のままだ。だからもう、努力で解決する道はない。ないから諦める。

 結論を言おう。美少女に生まれ変わったら、サイコザクバックパック的な物を背負えばいい。いくら腕力が貧弱になろうと、背中のアームがぼくを守ってくれる。最終手段としてバズーカも撃てる。無敵だ。

 それに想像してみてほしい、サイコザクバックパックを背負った美少女だぞ? 魅力的じゃあないか、唯一無二的に。もうこれしかない、ぼくらは四肢を残して美少女になったままリユースサイコデバイス的なお助けアイテムを背負うしかないのだ。

 少女が背負うのだから当然軽くしてもらわなければならないし、軽くなっても戦闘力は据え置きでいてくれなければ困るし、背負っていても他人からなんら違和感を抱かれない環境も用意されていなければ生きていけない。特に最後の物が欠けると、一歩外へ出れば銃刀法どころじゃない理由で連れていかれてしまう。

 というわけで、神龍に願うことは以下の通りだ。

「ぼくをサイコザクバックパック的な物(人間に合わせたサイズで取り外し可能、めちゃ軽い、めちゃ強い、別に四肢は切り落とさなくてもいいし背負った本人に戦闘センスがなくてもほとんど自動でいい感じに戦ってくれる名刀電光丸仕様の物。しかも背負っていても誰も何も違和感を抱かないオマケ付き)を背負った美少女(見た目はもちろん声もかわいい)にしてくれ!」

 ……これを神龍が一つの願いとして扱ってくれるだろうか? たぶん無理だろう。きっとぼくが集めるべきドラゴンボールの数は句読点に七をかけた数字になるだろう。

 これでは無理なので、代案を出すことにする。

 

 要するに、ずっと美少女でいるから危ないのだ。男に会う時だけ、自分も男であれば何も危険はない。というわけで換装である。ぼくらは都合に合わせて男になったり女になったりすればいいのだ。

 しかし男と女は表裏一体、近いようで真逆の存在。それだけ大胆な換装をするキャラクターが、はたして世の中にいただろうか?

 例えばらんま、あれはダメだ。あれは、換装を自分の意志ではコントロールできないという制約を背負っているからああなのだ。その制約を放棄すると、たぶんおそろしくブサイクになる。でもぼくはそんな制約いやだ、もっと自由に換装したい。

 Ez8はBRだろうと180mmキャノンだろうと射撃主体だし、ユニコーンは時間制限付きだし、シナンジュはマキシブースト以来換装をやめてしまったし、なんだかそれぞれが真逆を行く換装機は存在しない気がする。

 しかし男と女という真逆の存在への換装を試みるからには、射撃特化と格闘特化のように極端な換装をする機体でなければ、今回の参考にはならない。

 ならばインパルスはどうだ。ソードとブラストでいい感じだ。が、今度はフォースの存在が出てくる。つまり、極端な換装をするとなるともう一つ、何か中間的な機能の換装候補を持っておかなければならないということだ。

 射撃と格闘の間が機動力だったなら、男と女の間はなんだ? ……そりゃ、IKKOだろう。ダメだ、この線も却下する。万が一の操作ミスで一瞬でもIKKOに変身してしまうリスクは重い。

 性別の換装を求める道に希望はないのか。前例はないのか。これは、不可能なことなのか。そんなことを考えていると、もう一つ例を思い出した。カプル&コレンカプルだ。

 あれは射撃と格闘を極端に切り替える。が、弱い。ひたすらに弱い。これを男女に置き換えるとどうなる? どっちにしろブサイクになるということだ。ひたすらにブサイクになるということだ。これも却下。

 結論として、ぼくは性別の換装も諦めることになる。世界が、ガンダムが、それは神の力をもってしても不可能なことなのだとぼくに言っているからだ。

 一切の苦労なく美少女になれる日は遠い。

幼稚なウサギの感想からは卒業しなければならない

※以下の本文は、映画「君の名は。」および「クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん」「ベイマックス」を全人類が視聴済みだという前提で書いてある物なので、それらの映画のネタバレを含んでいます。まだ見ていない方は、特にクレヨンしんちゃんベイマックスの方をまだ見ていない方は注意してください。そして体力と気力があるのならばロボとーちゃんとベイマックスをぜひ見てください。あれはいいものです。

 

 

 

ここから本文。

 

 私が小学生だった頃に、飼育小屋のウサギを見てスケッチをする授業がありました。

 私は絵を描くのが致命的に苦手です。中居正広の描いた犬を笑いながら、中居くんに対して少し罪悪感を抱くような人間です。当然、当時もスケッチなんかやりたくなかったわけです。ただ、絵に関しては向き不向きがあって、不向きな人ほどそれを気にするもの……という点は、担任の先生も理解してくれていたように思います。

 先生から渡されたプリントにはスケッチを描くための枠に囲われた空白と、その下に感想を書くための行がいくつか用意されていました。感想とは、スケッチに取り組んでみての感想のことではありませんでした。スケッチと感想はまったく完全に切り離された物でした。

 書けと言われた感想は、ウサギを見ての物です。ウサギを描いてどう思ったかではなく、ウサギを見てどう思ったのかを書け……という課題でした。

 私は複数ある行の大半を空白で無駄にして、ほんの一行「かわいかった。」とだけ書きました。当然、すんなりと先生に受け取ってもらうことはできませんでした。

 

  例えばです。例えば小学校低学年くらいの小さな子どもがノラ猫を見かけて、それを指さし一緒にいた母親に対して「ねこ、かわいいね」と言ったら、どうでしょう? もっと詳しく感想を言えやりなおしだ……とは言われないはずです。多くの場合は、そうだねかわいいねと同意してもらえるでしょう。

 それが授業になった途端に「もう少し詳しく書けない……?」と言われてしまうわけです。もちろん母親と先生は立場が別ですが、それにしても今まで一言感想を述べれば肯定されていた子どもにとって、もう少し詳しくという要求は中々に困難なものです。結局私は、「かわいかった。」の一行に何も書き足せず、最後には諦めた先生に下手くそなスケッチと下手くそな感想文を提出しました。

 もしかすると私は、その時のことを未だに根に持っているのかもしれません。

 

 

 

 さて、話は変わりますが、つい最近「君の名は。」が地上波で初めて放送されましたね。私はすでにDVDレンタルで一度見ていたのですが、地上波でも見ました。二回も見たので、堂々と言います。

 「君の名は。」はつまらない、駄作だ。あれを絶賛する人間の感性はロクなものじゃない。

 ……はい、たぶん大多数の人間を敵に回したと思います。しかし私にはどうしてもあれが面白いとは思えず、また、あれを面白いと言う人を許容することも出来ません。

 特に映画そのものではなく、それを評価する人間の何が気に入らないのかを言いましょう。「面白かった」だとか「感動した」だとか、そういった漠然とした肯定の言葉を並べる人間が、私は好きではありません。というか、はっきり言って嫌いです。漠然とした感想を並べる人間に対して、感想を述べているその瞬間にだけ憎しみさえ抱いてしまいます。もちろんその憎しみは、映画自体への嫌悪感もプラスされた結果の物ですが、それだけというわけでもありません。

 自分と違う意見を認めることは、ほとんどの人間にとって難題です。けれども私は、そのあたりについて努力はしているつもりです。

 「君の名は。」はここがこういった理由で素晴らしい、面白い、感動するのだと具体的に説明してもらえれば、それに納得するかはともかくとして、ああこの人は本当にあの映画が好きなのだなぁと、尊重しようという気持ちが多少なりとも湧いてきます。その尊重しようとする「自分の中の理性」に逆らわないように、という努力はしています。

 ではどうして逆に、漠然とした感想を許せないのか。私は自分のことを完全に理解したいと常に考えていますが、これについてはまだイマイチわかりません。けれどもなんとなく、もしかしてという当てずっぽうだけれど、小学生の頃に書いたあのウサギの感想文が、あの一行を否定されたことが、ここに来てまで引きずっているのかなと。ふとそんなことを思いました。

 私自身、批判するのなら具体的にしなければらないと考えています。「君の名は。」については話題がピークに近かった頃から「そんなに面白いのか? ロクでもないやつらが持ち上げているだけじゃあないのか?」と悪意ある興味を向けていたので、私は半ば叩くために、批判するためにDVDをレンタルしてまで映画を見ました。見なければ具体的な批判は出来ないからです。

 そうして案の定、その映画は私には合いませんでした。以下、ネタバレと批判を並べます。

 

 都会暮らしの男子高校生「瀧」と田舎暮らしの女子高生「三葉」がいわゆる入れ替わり現象に遭い、そこからストーリーが進展していく……。事前に聞いていた情報で知っていることは大体それくらいでした。住む場所もまったく違う男女が入れ替わることで起こる様々な出来事を楽しむ映画なんだろうな……きっとなんやかんやあって二人は恋仲になってハッピーエンドなんだろうな……とイメージして視聴を開始します。

 で、三葉は数年前の隕石落下事故で亡くなった死者でした。瀧との入れ替わりには、タイムリープ的な要素も合わさっていました。衝撃の事実です。

 衝撃の超展開を経て、主人公二人は協力して隕石落下事故を防ごうと奮闘します。と言っても隕石を止めることはガンダムでも持ってこなければさすがに不可能なので、三葉含む村民を避難させて命だけは確保することが目的でした。

 瀧の住む時間軸では、過去である「三葉が住む隕石事故に遭う前の村」には干渉できません。なので入れ替わりのシステムをもってして二人は協力し様々な活躍を見せます。で、そこまでの過程で主人公二人は想像通り恋仲になって、結果として作戦も成功して三葉は生存します。過去が変わったことで瀧の住む時間軸にも三葉が現れ、記憶のおぼろげな二人は数年後に再会します。

 再会した瀧が「君の名は」と三葉に問うことで、タイトル回収を済ませてハッピーエンド、おしまい。映画「君の名は。」は、そんな映画でした。

 …………これ、入れ替わりのくだり必要ですか?

 意識せずとも耳に入ってくる宣伝によって、見る前から私は「君の名は。=入れ替わりの話」という認識を持っていました。当然、入れ替わりを軸にした話に期待します。

 しかし蓋を開けてみれば出てきたのはタイムリープもの。物語の中での大きな目的が過去の隕石事故を回避してのヒロイン生存である以上、入れ替わりはタイムリープに埋もれて目立ちづらい設定になってしまいます。それどころか個人的には、主人公たちの恋愛模様さえ隕石事故回避という大きな目標に半ば埋もれてしまったように感じました。私が気に食わないのはこの点です。

 

 

 ここからしばらく、私の妄想を書きます。

 例えば瀧は予知夢を見る能力者で、過去に自分が見た母親の死ぬ夢を「悪い夢だったけど夢は夢だ、現実に起こるはずがない」と何も行動を起こさなかった結果母親が夢の通りに死亡し、瀧も心に傷を負ったとして。

 それから父親の仕事の事情で引っ越した瀧は、同じく予知夢を見る能力を持ち、なおかつ瀧と同じように自分が特別な能力を有していると自覚しきれなかったせいで大切な人を失った三葉に出会います。二人は似た境遇ゆえに今まで他人には理解されなかったお互いの苦しみを共有することが出来て、そこから少しずつお互いを意識する関係になります。

 で、そこで見る隕石落下の夢。今度こそ予知された未来を変えるために二人は奮闘するも、まわりの大人たちは「何を寝ぼけたことを言っているんだ」と理解してくれない。それでも諦めずに行動して、最後には……。

 ……というわけで、ですよ。何が言いたいのかと言うと、「予知夢」という一つの要素を入れるだけで、「タイムリープ」「入れ替わり」という二つの要素を削れるわけです。詰め込みなんですよ、「君の名は。」という映画は。不必要に要素を盛っているんです。

 映画というのはたった二時間のものです。小学校の授業の約2コマ分の時間という、短くはないが決して長くはない時間の中で、一つの物語を始まりから終わりまで語らなければなりません。ポンポンと様々な要素を盛り込むだけ盛り込んでも、それを消化しきれるわけではないのです。

 「君の名は。」は盛り込みすぎた結果つまらなくなった上に、宣伝に釣られた客の期待を裏切ったと私は考えます。それを面白かっただの感動しただのと言って漠然と評価し、あまつさえ世界的なヒットにしてしまったような、いわゆる大衆が私は許せません。

 肯定的な評価をする人々が各々に自分の意見を語って評価しているのならそれは仕方のないことだけれども、2回も見た10回も見たと面白かったアピールや信者アピールだけをして、何が面白かったのかを語らない。私はそんな大衆を許してはおけません。ネタバレを控えたとしても、本当に面白いと感じたのならもう少しマシな感想が言えるはずです。いや、言えるようにしなければならないのです。幼稚なウサギの感想は否定されるべきなのだから。

 私のこの考えはDVDと地上波で2回見ても何ら変化しませんでした。自分が少数派だということは、薄々感じてはいます。

 

 

 さて、一つの映画を批判したところで、では逆にお前の言う良い映画とは何なのだと言われた時のために、おすすめの映画を2本紹介することにします。ロボとーちゃんとベイマックスです。以下の話はつまるところ私からの映画の宣伝なので、興味のない人は見なくてもオーケーです。

 ロボとーちゃんは皆ご存じクレヨンしんちゃんの映画ですが、話の流れは以下の通りです。

 

 綺麗なお姉さんにつられて見覚えのない店に入った野原ひろし(野原しんのすけの父)はそこでロボットに改造されてしまいます。初めは突然のことに家族も戸惑いましたが、そのうちロボになった野原家の父、ロボとーちゃんは家族に馴染んでいきます。

 が、話が進むと衝撃の事実が判明。ロボとーちゃんは「野原ひろしとしての記憶」を植え付けられたロボットであり、オリジナルの人間である野原ひろしは別に存在していたのです。つまりロボとーちゃんから見える世界は「自分は間違いなく両親から生まれた人の子で、ひょんなことからロボットに改造されてしまった」というものなのに、実際の彼は「人の子野原ひろしの記憶を植え付けられたポッと出のロボット」ということになるわけです。

 そして、そんなロボットを作った黒幕の目的も明かされます。黒幕はいわゆる嫁の尻に敷かれたタイプの父親で、娘にも邪険にされていました。そこで昔のような父親が絶対の時代、亭主関白こそ正義だった時代を取り戻そうと、父親としての記憶を持った武力的に強力なロボットをもってして父親の威厳を取り戻そうとしていたわけです。

 最終的に巨大ロボを持ち出した黒幕ですが、激闘の末に結局はロボとーちゃん含む野原一家の抵抗に敗れます。戦いに負けた黒幕は崩壊する巨大ロボの中で最後に「全国のお父さんに愛を!」と叫びます。

 なんとか最後の戦いに勝利したものの、ロボとーちゃんは損傷が激しく、機能を停止するまで……人間で言うところの「死」に至るまで、そう多くの時間は残されていない状態になっていました。そして最後にロボと人間、二人の父親は、どちらが子どもたちの父親として、そして野原家の大黒柱として相応しいかを決める腕相撲をします。接戦の末に人間のとーちゃんに負けたロボとーちゃんは「家族を頼んだぞ……俺……」と言い残し、機能を停止。……以上で、話は大体終了となります。

 

 さて、ロボとーちゃんの何が素晴らしいか。それはテーマの一貫性です。

 初めから最後まで、この映画は「父親とは何か、家族のあり方とは何か」というテーマを貫いています。もしも自分の父親が、もしくは夫が突然ロボットになって帰ってきたら。もしも自分はどうやら本物ではなくロボットらしいと自覚させられたら。我々人間はその時どうするのか……という、テーマに沿った話が展開していくわけです。

 さらには黒幕の主張も同じく「父親が軽視される現代は間違っている」という、家族のあり方を問いかけるストーリーの根本的なパーツそのものになっているわけです。ただのやられ役としての悪役ではなく、話の根幹を成す存在となっているのです。

 その上さらに素晴らしいのは、この二時間で綴られたテーマについて、主人公たちではなく悪役が答えを出したことです。「全国のお父さんに愛を」と、武力的な、暴力的かつ威圧的な解決を謀っていた黒幕が、最後には「愛」という言葉を持ち出すのです。「私は間違っていないはずなのに!」というような独善的な捨て台詞ではなく、「愛」を持ち出してきたのです。ここにこめられた意味は大きいでしょう。

 誰が考えても一家を養う父親が軽視されることは間違いであると理解できるのと同時に、だからといってその威厳を暴力的に取り戻すことが間違いであることも理解できるはずです。ではどうすればいいのかという問いに黒幕が、正義の味方ではなく悪役が、もしくは「父親」という概念その物の味方が「愛」という答えを出した。これは重要なことです。

 家族との関係について悩むことは珍しいことではないでしょう。それを暴力的な、理性的とは程遠い手段で解決したいと考えることもあるかもしれません。しかし我々人間は本来、そんな風に悪に染まろうとした時でさえ、きっと答えを知っているのです。本当に必要なのは力ではないと知っているはずなのです。ロボとーちゃんの黒幕は、最後にそれを示してくれたのだと、私は思います。

 また、これは悲しい話でもあります。なにせ同時にこの黒幕は、我々は答えを心のどこかで知りながら、それでも悪に染まらざるを得ない時があると示したのですから。愛されたいと口にすることがどれだけ覚悟のいることなのかを、黒幕の「断末魔としてでなければ言えなかった」という部分から我々は読み取るべきでしょう。

 ……というように、このような深い話をたったの二時間にまとめるためにこそ、テーマの一貫性というものは必須なのです。ロボとーちゃんは要素をしぼり、それを貫くことの大切さを教えてくれました。

 また、魅力的なのは黒幕、つまりは敵だけではありません。最後に「家族を頼んだぞ」と言って機能を停止したロボットの覚悟も、我々は推して知るべきです。

 例えば自分の意識が突然途絶えて、病院のベッドで目を覚まし「自分は事故に遭ったのだ」ということを自覚したとしましょう。さらに、事故によって腕なり脚なり、何でも良いのですがとにかく体の一部分を失っていたとしましょう。ロボットになった場合は、なる前よりも強くなっていたのでこの例えは少々不適切ですが、つまりは突然自分の体が今までと比べて著しく変化していたら……という話だと捉えてください。

 体の一部を失えば生活にも支障をきたし、それを支える家族も始めはそれに戸惑うでしょう。しかし段々とお互いにそのことにも慣れていき、元通りの家族として馴染めるようになっていくはずです。

 ようやく元通りの形に戻れた、馴染めた。そう安心した矢先に、五体満足の「自分」が目の前に立っていたら。そいつが「俺が本物だ、お前は偽物だ」と主張し始めたら。我々は、きっとそれを受け入れられないでしょう。

 「ロボットだから」という理由で初めは家族とすれ違ったロボとーちゃんの気持ちは、それに似た物ではないでしょうか。やっとロボットの体を持った父親として、そう「父親」として家族に馴染むことができたのに、人間としての自分が突然目の前に現れるのです。上に書いた例え話での「五体満足な自分」と同じくらい、「ロボットだから」という理由で始めは家族に否定までされたロボットにとって、記憶の中では「数日前の自分」である「人間の自分」に出会い、そいつから「お前は偽物だ」と言われたら。そんなもの、受け入れられるわけがありません。

 当然ロボとーちゃんだって初めは現実を受け入れようとしませんでした。もしかすると、最後までそうだったのかもしれません。しかし、彼は最後に「家族を頼んだ」と人間の自分に言って、息を引き取ったのです。その言葉を口にするまで彼が何を感じて何を考えて、機能を停止する瞬間までどういった思いで生きたのか。想像するだけで恐ろしい運命を押し付けられたのにも関わらず、立派に生きた父親のことを、我々は尊敬しなければならないでしょう。

 それを押し付けるのはあまりにも酷な話になるけれど、もしかすると理想論むき出しで語るのならば「理想の父親」というものは、最後に「家族を頼んだ」と言えるロボとーちゃんのような存在なのかもしれません。

 ……と、家族のあり方というテーマを貫いたこの映画は、そのテーマを一方向だけから見た場合の「父親としてのあり方」についても表現し、それらを創作された物語が物語のゴールとしてたどり着く感動、つまりは面白さにまで結びつけているのです。なぜロボとーちゃんが世界に名を轟かさず、「君の名は。」が轟かせていったのか、私にはわかりません。漠然とした感想ばかりをこぼす大衆はこのことについての罪を背負っていると思います。個人的な意見ですが、そう思います。

 

 

 次に、ベイマックスです。これは宣伝で体感8割くらいの内容を見せたと思われる「アナ雪」に対して、宣伝でのイメージと内容がまるで違った映画です。そういう意味では「君の名は。」に似た部分があるのですが、私はこちらは面白いと感じました。なぜそう感じたのかを、もともと言語化する能力が高いわけでもないながら必死に言葉にしてみたいと思います。

 ベイマックスのストーリーはおおまかに以下の通りです。

 

 主人公のヒロは兄に似てロボット制作に秀でた、いわゆる天才少年です。ヒロは個人的にも尊敬している、兄の大学で教授を務めるキャラバンなる人物に認めてもらおうと自作の画期的な、無数の集合体となって力を発揮する小型ロボット「マイクロボット」を制作します。

 しかし、そのマイクロボットを披露する会場で大規模な火事が発生。ヒロとその兄は建物から無事脱出できましたが、キャラバン教授はまだ建物の中。教授を助けようとヒロの兄は弟の静止を無視して建物へと戻り、その直後に大爆発が発生。兄は帰らぬ人となりました。

 心に傷を負ったヒロのもとに、兄が最後に制作したロボットである「ベイマックス」が現れます。人の心身をケアするために作られたベイマックスはヒロを立ち直らせようとしますが上手くいきません。そんな中で、偶然ヒロの手元に一つだけ残っていたマイクロボットがおかしな反応を見せます。集合体となって初めて力を発揮するそのロボットは、自動的に他の個体と近づくために吸い寄せられるような反応を見せる場合があるのです。

 つまり、まだどこかで他のマイクロボットが現存していることになります。火事の際に失われてしまったと思っていた自分のロボットが、どこかにまだ存在している。ヒロはマイクロボットの現状がどうなっているのかを確かめようとし始めました。

 結果として彼は、仮面で顔を隠したいかにも怪しげな人物が、マイクロボットを量産していることを知ります。なんだかキナ臭くなってきました。火事で失われたはずのロボットを量産する謎の男。あの火事と謎の男は何か関係があるのではないか、ヒロはそう勘ぐって男の正体を追うことにします。

 兄の友達であった大学のメンバーたちと友達になり、彼らもしくは彼女らを仲間にしつつヒロが謎の男を追う冒険は進んでいきます。さらにマイクロボットは戦闘に用いても強力なロボットなので、対抗手段としてヒロはケアロボット……つまりは現代で例えるのなら介護ロボットに近い存在であるベイマックスを、ロケットパンチまで出せる戦闘用のロボに改造して作り替えてしまいます。

 そしてついに、仮面の男の正体にたどり着くのです。仮面の男の正体は、キャラハン教授でした。彼は炎に包まれる建物の中で、避難したヒロが放ったらかしにしていたマイクロボットを利用して生き残っていたのです。

 兄は教授を助けにいったのに、教授は自分だけを助けた。それに激高したヒロはベイマックスのリミッターを外しキャラハン教授の殺害を試みますが、これは失敗に終わり逃げられてしまいます。

 その後仲間たちに復讐はやめようと説得されたヒロは、キャラハン教授がなぜマイクロボットを量産しているのかの答えも知ります。教授は極秘に行われた空間転移装置の実験で起こった事故により実の娘を失っており、その実験を取り仕切っていたクレイという人物にマイクロボットを使った復讐を試みていたのです。もちろんその復讐の手法は、ひどく暴力的なものになるでしょう。

  仲間から説得を受けたヒロの目的は教授を止めることに切り替わりました。亡くなった兄だって復讐を望んではいないでしょうし、むしろ人の心身をケアするロボットを作っていた兄の意思を考えれば、復讐にのまれてしまった教授を止めようとするのはきっと正しいことでしょう。

 結果として戦いに勝利し、ヒロたちは教授を止めることには成功します。が、ヒロとベイマックスはクレイが再び稼働させた空間転移装置に飲み込まれて異空間に入ってしまいます。そしてその異空間の中で、死んだと思われていたキャラハン教授の娘が生きていたことを知り、救助します。

 しかし、ベイマックスが無事に異空間から帰ることはありませんでした。異空間内での事故によってベイマックスは満足に動けない状態になり、最後の力を振り絞ってロケットパンチに使うはずだった腕を飛ばす機能を使い、ヒロと教授の娘だけは異空間の外へと突き飛ばしたのです。

 兄を失い、今度はベイマックスまで失った。悲しみにくれるヒロは、最後に飛ばされたベイマックスの腕の、その握られた拳の中にある物を発見します。それはベイマックスに内蔵されていたチップでした。ヒロはそこから情報を読み取り、最後には自分でベイマックスを開発し直してハッピーエンド……という展開で話は終わります。

 

 ……いや、長いですね。上手くはしょって伝えることができませんでした、すみません。

 まあ、それはともかくとしてです。宣伝では「なんだか和む見た目のケアロボットと、心に傷を負った少年とのハートフルストーリー」みたいなイメージを伝えてきておいて、蓋を開ければバトル展開がもりもりでしたって感じの映画でした。

 CMでもベイマックスに戦闘用の鎧を着せているシーンはありましたが、まさか仲間を集めて黒幕とバトルする展開になるとは思いませんでした。ほとんどの人がそうだと思います。アナ雪に例えるなら、エルザが魔法を駆使して悪役と派手な戦いを繰り広げるイメージです。これは衝撃でした。

 さて、なぜ宣伝からの裏切りを見せたベイマックスを、私は面白いと感じたのか。これにもやはり、テーマの一貫性があったからだと感じます。

 ネットで見かけた意見に、ベイマックスは後味の悪い話だという主張がありました。兄がケアロボットとして作ったロボを戦闘マシンへと改造したことについても、結局は異空間に取り残されたままのベイマックス「1号」についても、後味が悪いというのです。

 確かに見方によってはそういった感想が出るでしょう。しかし私はこれを「人を救うことの重さ」の表現だったと考えます。ベイマックスは全体を通してそれを貫いたのではないでしょうか。

 兄を亡くし悲しみにくれる少年の心をケアする、つまりは救うというのは、生半可なことではないのです。ベイマックスはケアロボットという生まれ持った本来の自分を捻じ曲げてでも、戦闘ロボになってみせなければヒロの心を救うことはできなかったのでしょう。これを成し遂げたベイマックスは立派ですし、もはや聖人と言える領域に達しています。一人の人間の心を救うには、それだけのことが要求されるのです。

 軽々しく人の悩みを聞こうとして、思いついた言葉を投げかけては、自分はそれに対して何も責任を負わない。そんな無責任な偽善者の対極にあるのがベイマックスなのだと思います。そして異空間に取り残されたベイマックスは、聖人の末路を示しているようにも感じられます。

 人を救うっていうのはそういうことだ。覚悟が必要で、なおかつ報われるとは限らないことなのだ。我々はこの映画から、それを学んで自分を戒めるべきなのです。軽々しく人を救えると思ってはいけないのです。ベイマックスはバトル展開を通しつつも、そういった内面的な、精神的なテーマを貫いていました。

 一方、「君の名は。」は何を貫いたのでしょうか。恋愛について貫いたと言うには、あまりに描写が少なかったように思います。それをリアルだと言うこともできるのでしょうけど、リアリティは必ずしも作品の面白さに繋がるわけではありません。誰か一般人の日記を垂れ流したところで面白くはないことと同じです。

 映画に限らず「物語」という手段を用いる創作全般は、別に何か必ずメッセージ性を持っていなければならないわけではありません。ただ爽快、ただかっこいい、ただかわいい、ただ美しい、もしくはストーリー自体の巧妙さに感心する。そんな創作ももちろん有りでしょう。

 しかし、「君の名は。」は多くの要素を盛り込み、そのどれにも特化しませんでした。器用貧乏だったのです。そして器用貧乏にならないためには、おそらくは一貫したテーマが必要なのです。ベイマックスは一貫したテーマがあったからこそ、人の心を救うというストーリーと、バトル漫画的な展開を上手く共存させることが出来たのだと思います。

 

 

 ……と、ここまで書いてきましたが、私は重要なことを一つ言い忘れています。それは、ロボとーちゃんは「父親」を主観とした物語であり、ベイマックスは「バトル」を主な展開とした物語であったということです。要するに、両方ともどちらかと言うなら男性向けなのです。

 一方「君の名は。」の方は、SF的要素などがゴチャゴチャしていてわかりにくいですが、エンディングを主人公とヒロインが再会する場面にしたからには、主題は「恋愛」だったのではないでしょうか。そうだとすれば、あの映画は女性向けだったと、やや苦しいながらも言えることになります。

  そうすると、私は男ですので、男として男目線の男性向け贔屓な意見を言っている……ということがあるのかもしれません。これはなかなか自覚できるものではないですし、実際自覚していませんけれど。自覚していない物は存在しないことにする、なんてことはさすがに出来ません。

 もしかすると「君の名は。」には女性にしか理解できない魅力があり、またロボとーちゃんやベイマックスには、女性にしか理解できない欠点があるのかもしれません。もしそんな物が本当に存在するとすれば、まだ今の私ではそれを認識することはできませんが、だからといって文句を言うことはありません。価値観の多様性を否定するつもりはないからです。

 ですから、「君の名は。」が好きな女性が、もしも私のような男と対面してしまったのなら、その時には「男の子だからわからないんだね、かわいそうに」と言っておけば良いと思います。そうすれば私のような否定派からは言い返す手段がなくなりますし、何よりそれは、価値観の多様性を認めるという大切なことに繋がる台詞になるわけですから、悪いことなしです。

 ただ私にはどうしても、あの映画を支持している人たちの大半は、そんなところまで考えてはいない気がするのです。みんなきっと小学生の頃の自分に戻って、映画というウサギを見ているのでしょう。だとすればやはり私はその人らとは関わりたくありません。子どもは嫌いなんです。

日記。コンロ前での戦争。

 まな板の上に四匹のイカ。底の丸いフライパンに溜められた油。今日の夕飯はイカの唐揚げを作る予定だ。無謀にも冷凍ではなく、生のイカを使って。

「いいかい? まずは足(ゲソ)の部分から指を入れ、こう……このあたりに引っ付いている部分があるから、それを指で探り剥がして内臓を取る。一匹目は私がやるから見ておきなさい」

 そう言って母はイカの中に指をつっこむ。イカの内臓取りや皮剥ぎなら小学校低学年の時にもやらされた記憶があるけれど、まぁ作業を減らしてもらって悪いことはない。黙って見ておくことにする。

「痛っ。なに……? 何か、トゲのような物がある」

「イカの中にトゲ?」

 本当にトゲが生えていたらそいつはイカじゃない、エイリアンだ。

「どうしようもなさそう……。切り開くかな」

 包丁で切り開かれるイカ。と、その切り口から明らかに異物だとわかる真っ赤な物体が見えた。

「なにっ!?」

 母も驚いたが傍で見ていたぼくも驚いた。相当大きいが新手の寄生虫でも現れたかと、いかんせん虫が苦手なもので身構えてしまった。

 しかしよく見るとその物体には、見覚えのある目が付いていた。見覚えのあるヒレも、尾も付いていた。

「魚……?」

 入っていたのは金目鯛の子どもらしき魚だった。本当に金目鯛なのかは定かではないけれど、真っ先に金目鯛が思いつく程度には酷似した姿をしている。そもそもその魚が何であろうと、猛毒を持った魚でもない限りは変わりはないのだけれど。

「イカの体と同じくらいの魚が出てきましたね先生」

「信じられないね。まあ、中途半端に溶けてなかっただけ幸運だったよ。……さて、気を取り直して二匹目で手本を見せるから、今度こそよく見ておくように」

 そう言って母は慣れた手つきで内臓を取り出す。さすがに二連続で魚を発見するようなことにはならなかった。

「あ」

 イカの中から抜け出した母の指は黒く染まっていた。

「スミの入っている部分を潰すとこうなる。気を付けるように」

「どう気を付ければいいのでしょうか先生」

 しばらく悩んでから母はアドバイスをくれる。

「慣れとセンスで」

「主婦歴二十年超えのあなたがミスをするなら、ぼくはもうダメでしょう」

「別にスミが出たからって食べられなくなるわけじゃあないんだから。自信がないのなら、スミを洗い流すという工程が一つ増えることを覚悟をしておけばいい」

 水道から流れる水で自分の指とイカとをさっさと洗った母は三匹目の内臓取りにとりかかった。いいぞ、そのまま四匹すべてやってくれ。

「ほら、今度は上手くいった」

 ずるりと綺麗につながったイカの中身を引き抜いて、母は若干満足気だった。ようやく手本が見せられた……というわけではなく、ただ単に上手くいった時の感触が気に入ったからだろう。

「上手く取れると気持ちいいぞ。最後になってしまったけれど、ほら、やってみて」

 四匹目、最後のイカを渡される。……が、その際に母は何か違和感を覚えたらしくイカをぼくの手から取り戻し、中身を確認するようにそれを指で押した。

「……押してみて」

 イカを手渡された瞬間になんとなく察して、ぼくもそれを指で挟むようにして押してみる。

「かたいですね」

「中途半端に溶けていないようで何より」

 ぼくも母もグロテスクなものに慣れているわけではないので、確かに原型をとどめてくれているのは幸いだけれども。

 結局四匹目のイカを切り開き、中に入っていた赤色の魚を取り出して、その後食べやすい大きさにイカの身を切り分けてこの作業は終わった。

 

 熱された油の中へ、唐揚げ粉を溶いた液体をまとうイカを入れていく。跳ねないよう慎重に。

「いやしかしイカの中から魚が出てくるとは。アレも揚げますか」

「嫌だよ気持ち悪い」

「じゃあどうするんです」

「もう捨てたよ」

 じゅわじゅわと泡を立てて揚がっていくイカを見ながら、暇つぶしに会話をしては時々菜箸でそいつらをひっくり返していく。途中で、以前目元の一センチほど下へ油が飛んできたことを思い出したので、ぼくは眼鏡を取ってきて装着した。

 眼鏡をかけて数分後のことだった。聞いたこともない大きな、油のはじける音がした。

「ぎゃっ」

 反射的に目を閉じる前に、四方八方へ小さな油の粒が飛んでいくのが見えた。規模としてはそれと比べものにならないけれど、火山の噴火を彷彿とさせられた。

「ちょっと、平気!?」

「あ、い、生きてる……」

 珍しく少し焦った母を見た。少し焦っただけなので取り乱してはいないのだけれど、それはぼくも同じことだ。

 噴火のような油跳ねを見た時には死……とまでは言わなくとも病院送り程度までは覚悟した。人生で初めて本格的に火傷をする時が来たのかと思った。が、顔と手に当たった油は案外、火傷を負わせて来るほど熱くはなかったので無傷で済んでいる。

「気を付けて、私もタコとにんにくで同じことを経験した。そして皮膚科に通うことになった」

「油がそこまで熱せられていなくて命拾いしたみたいです。……でも、気を付けろとはいったいどうやって?」

 ぼくは人間なので、跳ねる油を見てから躱すことはできない。ではイカを諦めて、すでに油へ放ってしまった物はそのまま沈めて忘れるか?

「……鍋の蓋を盾にでもしてみたらいかがかな」

「効果ありますかね」

「あとは気合いだ」

 要するにぼくが無事でいられるかは九割近く運にかかっているらしい。とんだバクチダンサーである。跳ねる油と踊れや踊れ。

 仕方なくアドバイス通りに鍋の蓋を盾にしてみる。透明な蓋なのでイカたちの姿を確認できる優れものだ。

「そろそろ揚がりましたかね」

「見て判断できるようになってほしい」

「爆発物の射程範囲に立ってまじまじ観察しろと」

「揚がっているよ、さっさと皿に移せばいい」

 また噴火のような爆発を起こすんじゃあないかとびくびくしながらもイカたちをサルベージしていく。予想に反してその時は一度も爆破せずすべて安全に回収できた。

 すべて、というのはフライパンに入れた分すべてという意味である。入りきらなかった第二陣たちは、唐揚げ粉からなる液体と共にジップロックの中で出番を待っている。出番とはおいしく食べられることに対してなのか、それとも爆破でぼくの身に傷をつけることに対してなのか。

「ゲソの部分は危険な予感がするからやめておこう。身だけ揚げてくれればいい」

「そりゃ助かります」

 思っていたよりも作業が減って安心安心……と油断した時だった。バンッと音がして、今度は上にある換気扇に届かんとする勢いで油が飛んだのを見た。

「うおお……!?」

 今度こそ死んだかと思ったが、なんと鍋の蓋が予想外の大活躍を見せていた。ぼくには一切のダメージなく、その蓋だけが水洗いしたあとみたいに濡れていたのだ。

「すごい、盾の効果ありますよ!」

「それはよかった。今入れた分でイカの身部分はすべてだからそれが最後だ、頑張れ」

 いける、これならいけるぞ。ドラゴンクエストに出てくるシールドこぞうというモンスターのように盾に身を隠して、ぼくはイカが揚がるまでを見守る。見守っている間にも小規模な爆破が起こっているけれど、当たらなければどうということはない。

 そして、頃合いを見て菜箸で皿へ引き上げようとした時のことだった。

「菜箸を入れてこい、お前だけを射抜くぞ」

 イカがそう言った気がした。

「ぐあっ、なにっ!? こいつ……!!」

 再びの大きな音と共に、噴火するように跳ねる油。それも、菜箸を突き出すために盾からわずかに覗いた手を正確に油が狙ってきやがった。

 当然ながらこれは偶然なので、ぼくには運が足りないらしい。わずかな範囲を狙撃されたことも、今度飛んできた油がしっかり熱かったことも不幸だ。

「くそ、ここまで来て下がれるか」

 未だフライパンの中に残るイカたちも気合で引き上げていく。その間にも何度か爆発は起こったけれど、それらが手に直撃することはなかった。イカたちを全員皿に入れたあとは油の当たった部分を水道水で冷やすことに徹する。

「よくやった。ほら、これ食べてみて」

 揚げたてのイカを渡されたので食べてみる。うむ、たしかに美味い。ぼくのやったことは無駄ではなかったのだと思える。……しかし。

「あ、美味い。……けれども母さん、前に冷凍されたイカを揚げた時はこんなに跳ねなかったはずだけれど」

 母も一切れ口に含みながら答える。

「冷凍の物はなぜだかは知らないけれど跳ねない。でも、あれは高いんだよ。……いや、私も今回を見て懲りた、懲りたよ。だけどさ、それはそれとして、美味しいでしょう? 命を懸ける価値はあったと思わない?」

 たしかに美味い。噴火のような爆発が飛び交うコンロ前での戦争をくぐり抜けてきたからか、黙っていても出てくるイカの唐揚げよりも美味い気はする。

 けれども、ぼくだって今回のことには懲りた。

「命を懸ける価値があるなら、金を懸ける価値だってあるでしょうに。買ってくださいよ、氷漬けのイカを」

「そうね。そうすれば、ゲソの部分も何も恐れずに揚げられるものね」

 満場一致で、生のイカを揚げる行為は封印された。

日記。シン・ゴジラが地上波で流れてから数日後のこと。

 平穏な昼下がりのある日、弟が妙なにやけ面をしてトイレから帰ってきた。

「たいへんだ」

 弟の、そのかたく上がった口角から発せられる違和感、非日常感。次の瞬間彼の口から「人をころしてしまった」と出てきても、「宝くじで三億円当たった」と言われても、不思議ではないと感じた。

「どうした」

「Gが出た」

 まさかぼくが身をこわばらせることになるとは思っていなかった。

「どこに」

「洗濯機の下。見間違いじゃない、触覚まであったんだ」

 ぼくの平穏と、それから弟の平穏は、黒光りする生物のせいで砕け散ったようだ。砕け散った平穏を修復するには、ヤツを葬り去るほかにないだろう。

 それができるのは、仕事に出ている父を除けば我が家に一人しかいない。ぼくはすぐに彼女を呼びに行く。

「母さん、大変だ、Gが出た」

「G? ゴジラのことかい」

「違う! 名前を口にするのもおぞましいヤツだ。とにかく、わかるだろう、Gだよ」

 ぼんやりとスマホを眺めておそらくは、続きが気になるなら金を払えと催促してくるサイトで漫画でも読んでいるのであろう母。

 彼女は、コンビニからエロ本が撤去されるらしいという話を聞いた時と同じくらいの無関心さを隠そうともせずに言う。

「あぁ、そう。でも、もうどこかへ行ってしまったでしょう。今から探しても無駄よ」

 冗談じゃない。ぼくはまくしたてるように説得を試みる。

「おい、冗談だろう。前に押入れでGが出た時もあなたは同じことを言っていたぞ。それでぼくがあまりにしつこいもので、仕方がなく押入れの戸を引いてヤツを探したな? あの時はどうだったんだ」

「……秒で見つかったわね」

「そうだよ! 今回も同じだ。いるんだよ、ヤツはまだ!」

 いる。必ずいる。押入れでの件以外にも、風呂の近くで見かけたヤツが、見失ったと思ったら玄関にいたことだってあったんだ。おまけに洗濯機は風呂のすぐ近くだ。第六感が、ここで放っておけば後悔すると警鐘を鳴らしている。

「まぁ確かに探せばすぐに見つかるかもしれない。でも、探さなければ見つからないかもしれないでしょう? それなら、探さない方が幸せなんじゃあなくて?」

「探さなくても出てくるんだよ! この前風呂の近くに出た時は、探してなんかいないのに玄関に……」

 今後この家で心やすらかに暮らせるかどうかが懸かっているので、ぼくもそう簡単には引き下がれない。彼女が腰を上げるまで、どう考えてもヤツを放置していいはずがないのだと主張してやる……!

 ……と、フルスロットルで喋り続けるぼくの相手をするのがさぞ面倒だというように、母はうっとうし気にスマホをテーブルの上に置いた。

「わかったわかった、行くよ。やっつけてくればいいんでしょ。Gはどこに出たの」

「さすが、わかってくれると思っていた! 洗濯機の下だよ」

 母はなにも武器を持たず洗濯機のある場所へ向かった。武器を持たないなんて、この人、もしかしてまだやる気になってはいないんじゃあないか。適当言って結局ヤツを逃がしたまま帰る気なんじゃないか。そんな不安がよぎるが、今は信用するしかない。

「弟が言うに、触覚も見えていたらしい」

「ふーん。……あぁ、あれか」

 ヤツを視界に入れるのも恐ろしくて洗濯機に近づけないぼくとは違って、母はすぐに目標を確認したらしく勇敢に向かっていった。

 向かっていった……が、ここまで来ても武器は持っていない。さすがにぼくも、彼女が素手でGを葬る光景は見たことがない。ああ、やはり、彼女にその気はないのだ……。

「……死んでる」

 しゃがんだ母がつぶやく。

「え?」

「こいつ、死んでいるよ」

 そう言ってリビングに戻った母はティッシュを数枚重ねて持って行き、すでに死がいとなっていたGを包んでゴミ箱へ捨てた。

 ぼくは感謝の言葉も忘れて、それでも言わずにはいられなかった。

「母さん、おかしいよ」

「なにが」

「母さん、昨日も言ってたじゃないか。死んだGが出てきたって」

 昨日のことだ、リビングの床に何かが落ちていた。それは死んで干からびたGだった。けれどもその時は父のコートを一年ぶりに引っ張り出してきた日だったし、何よりぼくが視力の低下も幸いに落ちていた物をGと認識しなかったので、誰も大して気には留めなかった。

 クローゼットの奥底にいたやつが死んだのだろう、前にバルサンも焚いたことだしな。その程度に考えていた。しかし、今回のことはさすがにおかしい。

「クローゼットの中にあった死がいがコートに引っかかって出てきたっていうのは、まだわかるよ。でも洗濯機の下に、急に死がいが現れるなんておかしいじゃないか。ティッシュに包んで捨てたヤツは、ずっと前からそこにあった様子だったのか?」

「いいや、そこまで長い間あそこで放置されていたようには見えなかったよ」

 次々と、埋もれていた記憶がよみがえる。

「先週、パソコンのキーボードへ弱った蚊が落ちてきた。バルサンを焚いたのは一か月以上前なのに、今まで効力が続いているわけもない。そもそも続いていたらぼくらが無事じゃあないんだから」

「つまりは何が言いたいんだい」

「ぼくにもわからない。でもおかしい、今のこの家は何かおかしいよ。理由はわからないけれど、何もしていないのに虫が死んでいるんだから」

「結構なことじゃあないか」

 そう言って母は元々いた場所へ戻ってきて座り、再びスマホをいじり始める。

 虫が死んだって何も困ることはない。それはその通りだ。何より、これ以上考えたところで何がわかるわけでもない。ぼくも特に深く考えることはせず、パソコンを起動させた。

 インターネットを徘徊するうちに、今日抱いた違和感はぼくの中でも、取るに足らない出来事として扱われるようになった。きっと母も弟も同じだろう。それどころかむしろ、二人は初めからなんとも思っていなかったかもしれない。

 今回のようなことがまるで重大なことであるかのように受け止められるほど暇な人間は、この家にはぼくしかいないのだ。

アズールレーンにわか勢から見える景色

 ツイッターのTLに流れてくる情報と若干自分で調べたことを混ぜて、アズレンをインストールからアンインストールまで24時間以内に済ませた人の見ている景色をご紹介。キャラクターの順番に意味はない。

 

・「ユニコーン

 ……ぬいぐるみが相棒の妹系キャラ。突然胸囲が増したことで貧乳派のリディ・マーセナス少尉を闇落ちさせた。なんか入会特典みたいなのでもらえる。とあるイラストの影響で心をえぐってくるイメージがある(ウニのイラストです)。

 

・「プリンツ・オイゲン」

 ……ログインボーナスか何かで特別に配布されていた人。この人をもらうところまでたどり着くことなく筆者はゲームをやめてしまったので、この人の名前を聞くたびにアンインストールした時のことを思い出す。もう、もうシャドバや艦これに振り回されていた時のような生活は嫌なのよ!

 

・「インディアナポリス

 ……警察だ! って感じの名前をした褐色幼女。最初にもらえてなおかつ盾みたいなスキルがいい感じだった気がする。インディアナがどういう意味なのかは知らない。なんとなーくイリヤの友達を思い出す。

 

・「ロング・アイランド」

 ……初期から仲間になっている子。なんだかおっとりしたタイプの人でどちらかといえば引きこもり体質なんじゃないかなという印象を受けたけど、それはともかく、もしかして親戚に読書好きなアイドルはいませんかって感じ。

 

・「イラストリアス

 ……真っ白なお姉さん。服どころか肌に髪まで白いので、たぶんカレーうどんの存在しない世界線の住人だと思われる。セリフ集を見る限りの感想だけれど、筆者はこういう人苦手だ。

 

・「ベルファスト

 ……えろいメイドのお姉さん。この人も相当白い。メイド属性に弱い人が多いのかえっちぃイラストを見かける機会が多い。ゲームの画像としては表情から出来る人オーラを醸し出しているが、ゲーム内ではえろい人なのか優秀な人なのか、それともどっちもなのか。わたし、気になります

 

・「クリーブランド

 ……通称クリーブランド兄貴姉貴。筆者がパッと見で一番気に入ったキャラだけれど、なぜ兄貴と呼ばれているのかはまったく知らない。XXハンターとときあめ姉貴兄貴は別に関係ないことだけ知っている。時々「兄貴姉貴」なのか「姉貴兄貴」なのかごっちゃになることがあるが、絶対に間違えてはいけない。

 

・「加賀」

 ……艦これとはキャラデザの方向性が違うんだぜ、ということを示すキャラクターの筆頭(だと勝手に思っている)。またしても白い人だけれど、今度は尻尾がたくさん生えている。しかし狐っぽいというだけで、強制的にどこかの良妻が脳裏をよぎる。

 

・「赤城」

 ……赤い方の狐の人。緑のたぬきは存在しない。数あるえろいお姉さん系の中でもやばいオーラを放っている気がしていたが、ケッコン時のセリフを見るに予感は当たっていたようだった。まあ、狐だし大丈夫でしょ(根強い良妻イメージ)。

 

・「祥鳳」

 ……艦これと比べて幼児化の激しい人。キャラデザは艦これの方が好きだなぁと頑なだった提督を陥落させたりさせなかったりしているらしい。幼女系キャラの中では正統派な方なんじゃないかと勝手に思っているが、ゲーム内での振る舞いは一度も見たことないぞ。

 

・「ハムマン」

 ……小学生の肩書きを奪われた女。公式生放送での悲劇に関わっている重要キャラクターでもある。なぜネタとはいえひどい仕打ちに合うことが多いのかは筆者にはわからないが、とにかく一つのツイッターアカウントを閉じさせた恐ろしいキャラクターである。

 

 ……と、大体思いつくのはここらへんだろうか。言われてみれば見たことあると思い出すキャラクターは他にもたくさんいるだろうけど、別にアズールレーン図鑑を作っているわけではないのでこだわらないことにする。あとイマイチこれといった印象がないキャラクターもカットしている。

 それでは、書くこともなくなってのでここでさようならになる。次はアニメ見てない鉄血のオルフェンズで似たようなことを書くかな。

使いどころがわからないが、封印する決心のつかなかった設定たち。(死神JKデイズちゃん関係)

※「死神JKデイズちゃん」とは同タイトルで氷頂氷菓ハーメルンというサイトに投稿した小説である。興味のある人は見に行くと暇つぶしになるかもしれない。なお同小説は今のところ上記タイトルの物を含め三編(内一つは二分割)投稿している。 

 

 氷頂氷菓が「頭からっぽの話を書きたい」と言い出して生まれた死神JKデイズちゃんシリーズだが、書いているうちに思っていたよりも気に入ってしまった。封印する決心がつかないので、それによって浮かんだネタをここに書き込んでおく。

 設定上デイズ以外の魔法少女も多数存在していることになるが、それらを指揮している神様たちが、魔法少女同士を出会わせる理由が思いつかない。思いつかないというか、無いのだ。一人では倒せないような強大なデザイアを倒すために協力する、なんて展開を持ってこられればいいものの、そんなデザイアの案は思い浮かばないし。

 よって、以下に書く魔法少女はおそらく本編に登場しない。無念である。以下、設定の羅列。

 

 ※それぞれの魔法少女を指揮している神は全員別の神である。

 

 名前……魔女ナインエイト

 武器……重力を操る小さなステッキ、子どもの玩具のような見た目で黒と白の2パターンに切り替わる。詳しい能力と名称は以下会話文にて。

 

「あなた名前は?」

「デイズだよ。そっちは?」

「ふふん、心して聞きたまえ。……重力を操る魔女、その名もナインエイト様だ!」

「へぇー。ちなみに由来は?」

「コレ!」

「……杖? いやステッキって言った方がいいのかな。それで魔法とか使うの?」

「そうですとも。ナインエイト様はこの杖を振ることによって、重力を操ることができるのです」

「物を重くしたりできるんだ?」

「重くも軽くもできる、ナインエイト様は万能なのです。こうやって杖の色を切り替えると、黒い時は重く、白い時は軽くできるのさ」

「へぇー。……え、それで名前との関係は?」

「まだわかんないのー? デイズちゃんは勘が鈍いなぁー」

「はぁ、何か期待にそえなかったようで申し訳ない」

「ううん、いいよ。しょうがないから教えてあげる。ナインエイトの由来は……重力加速度さ! ね、おしゃれでしょ?」

「あー、うん……。……うん、そうだね、すっごくおしゃれ!」

「でしょー。ちなみに杖が白い時と黒い時で名前が変わるんだけど、なんて名前だと思う?」

「あ、ちゃんと名前があるんだ? なんていうの?」

「黒い時はグラビティ・フォールズ」

「おぉ……なんかそんな感じのタイトルのアニメなかった?」

「それで白い時はね」

「あぁ、うん」

ゼロ・グラビティ!」

「……うん、なんだろう、言うと思った」

 

魔女ナインエイト、概要。

……態度の大きな魔法少女、とても元気。自信家ゆえ見方によっては鼻につく態度を終始取ってはいるが、その圧倒的自信からくる寛大さを持ち合わせているので、決して悪い人ではない。悪い子じゃないんだけどね……って感じの子。名前の前に「魔女」が付いているのはそっちの方がかっこいいから(本人談)。

 使用する武器にちなんでナインエイト(重力加速度の9.8)を名乗っているが、彼女自身は中学を卒業することなく死亡してその後魔法少女となっているので、「理科」は知っていても「物理」は知らない。態度が大きいせいでアホの娘に見えてしまうのがたまにキズ。ちなみに重力加速度については神様から教えてもらったので、ネーミングセンスは半分神様のもの。

 なお重力を緩めモノを軽くするもしくは浮かせる能力は、魔法少女の標準装備である飛行能力と若干被っている気がするが、ナインエイト本人は気にしていない。

 

 名前……ツインスター

 武器……両腕に装備する大砲、濃いピンク色で星のマークが彫ってある。弾丸以外にも様々な物を射出することができ、普段は服の袖として形を変えている。詳しい能力と名称は以下会話文にて。

 

「はじめまして、あたしはデイズ。あなたは?」

「ツインスター」

「あ、その髪留めが由来? 星形かわいいね」

「いや、由来はこっち」

「うおぅ、袖が大砲に。なるほど萌え袖は伏線だったか」

「ほら、ここに星のマークがあるでしょ」

「ほんとだ、両手に持ってるからツインってことね、なるほど。でもそんなに大きい大砲だとさ、撃った時の反動で体吹っ飛んじゃわない?」

「そのくらいがかわいいんでしょ」

「そ、そういうもの……?」

「そういうもの。あと普通の弾以外にもいろいろな物が撃てるし、意外と反動は気にならなかったりもする」

「へぇー、どんな物撃てるの?」

「炎とか雷とか、冷気も風も出せるし、浴びた人間を透明化するガスもある」

「すごい豪華ラインナップだね。武器に名前とか付けてたりする?」

「片方がバズーカ、片方がキャノン。……どっちがどっちかは忘れた」

「あ、あぁ、そうなんだ」

 

ツインスター、概要。

……ちょっと変わったセンスを持った魔法少女、基本テンションは低い。大きな星型の髪留めを二つセットで愛用しており、武器である大砲にも星のマークが彫られている。髪留めについてはデイズが内心「小学生でもそんなのしてる人見たことない」と評している。

 星型を好んでいるとよく勘違いされるが、これは偶然彼女が死んだ際に身に着けていた髪留めだったというだけであり、彼女のセンスは一般的なところとは少しズレた物を全体的に好む。武器に星のマークを彫ったのは特に深い考えがなく、何か彫りたかっただけ。

 デイズより一つ下の高校二年生だった時に事故に巻き込まれ死亡しているが、彼女の場合特に未練はなく、楽しそうだからという理由で魔法少女をやっている。彼女の武器のバズーカキャノン(もしくはキャノンバズーカ)は濃いピンク色をしており、透明化の能力を備えていることから「オオナズチの素材使ってそう」と言われたことがある。

 

 

 ちなみにデイズを上記二名と同じ形式で表すと、

 名前……死神JKデイズちゃん

 武器……物理的には何物も切れず、概念的に全てを断ち切る大鎌。

 となる。物語上でデイズが上記の二名と出会うことシーンがおそらくないので会話文も実際の物語の中で登場することはない作者の空想。なのでデイズが「他の魔法少女は武器に名前を付けている」ことを知る機会はなく、自ら名付けようと意気込むこともないので彼女の武器に名前はない。

 ただし、もし名付けることがあれば「断ち切る鎌」と書いて「デイズ・サイズ・ヘヴン」と読む名が付くことは決定している。

 

 以上。

浮気に対するいろいろな見解を考えました(ネタです)。

 許せないタイプ。

「浮気なんて絶対許せない。判明し次第別れる」

 

 知りたくないタイプ。

「浮気するなら絶対バレないようにしてほしい」

 

 妥協はするけど諦めるわけではないタイプ。

「最後に私のところに帰ってきてくれるなら、浮気しても許してしまうと思う」

 

 妥協しないし言い回しが特殊なタイプ。

「あなたが両手に花を持ちたいと言うならそれを尊重するけれど、けれどそれなら私は利き手側の花になりたい」

 

 それに対して喧嘩を売っていくタイプ。

「三本の花を持ちたい時って両手じゃなくてなんて言うの?」

 

 話がずれていくタイプ。

「さあ? 一本を常に空中にあるようにしてジャグリングみたいにすればいいんじゃない?」

「なるほど、二股より三股の方が遥かに難しいってことだな」

 

 続、ずれていくタイプ。

「じゃあ十股とかしちゃう人はいったい何者なんだろう。浮気ジャグリングのパフォーマーなんだろうか」

「お金もらいながら世界旅行とかできそうね」

「いや慰謝料取られる側だから」